全労協/ ハラスメントは人権侵害! / 新聞 2019年5月号

全労協ハラスメントは人権侵害! / 新聞 2019年5月号



ハラスメント関連法国会審議
ハラスメントは人権侵害!禁止法が必要だ!舞台は参議院


四月十二日衆議院本会議で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法案」の審議が始まった。
内容は1
女性活躍推進法を
①一般事業主行動計画の策定義務を常用雇用三〇一人以上から一〇一人以上の事業主に拡大、
②情報公開義務の対象を一〇一人以上の事業主に拡大し、三〇一人以上は情報公表項目を二区分とし、それぞれ一項目以上の公表とする、
③優良事業主への特例認定制度(プラチナえるぼし)創設。
2ハラスメント対策の強化として、
①労働施策統合推進法にパワーハラスメント防止のため事業主に雇用管理上の措置義務をを新設し、パワハラに関する労使紛争に対し各地労働局長による紛争解決援助、調停、措置義務の履行確保のための規定の整備、
セクシャルハラスメント等の防止対策の強化(均等法、育児・介護休業法等)だ。

法案にはハラスメント禁止規定が無い。昨年四月に財務省事務次官による記者へのセクハラが明らかになり、多くの女性たちが#metooと声を上げた、しかし財務大臣は「セクハラ罪という罪はない」と言い放った。事業主にセクハラ防止の措置義務を課したのは二十年も前の事だ。しかし職場のセクハラは続き、多くの女性たちが声を上げることもできずに苦しんでいる。さらに就職活動中の女学生のOB訪問における酷いセクハラで希望を断たれた女学生も多いという。また長時間労働パワハラで心を病み、命を奪われる事態もある。こんな状況を変えるには、何よりも《あらゆるハラスメントは禁止》をはっきり明示することが今必要だ。

衆議院厚労委員会では野党から合同でセクハラ禁止新法案(就活生やフリーランスも対象)とセクハラ・マタハラに関わる均等法の改正(他社の労働者からハラスメントを受けた時への対応等)の修正案が出されあわせて審議がされた。十六日には参考人質疑があり、セクハラの措置義務の不十分さ、例えば調停は「双方が譲って」という立場である。労働局では法律上加害行為をセクハラの断定できないなど、被害者の救済につながっていないことが明らかになった。厚労委員会質疑でも野党議員は繰返しこれらの点を追及してきたが、与党は十九日中の採決を求め、結局二十四日の採決となった。雇用共同アクションは十六日昼に緊急院内集会を開催し、十七日、十九日も第二議員会館前で国会行動に取り組み、「ハラスメントは人権侵害だ!」「ILO新条約を批准できる法改正を行え!」と声を上げた。日本は世界の常識から周回遅れだ。(柚木康子常任幹事)