全労協/ 指針案を撤回しILO条約批准へ法整備を! / 新聞 2019年12月号

全労協指針案を撤回しILO条約批准へ法整備を! / 新聞 2019年12月号


 

あらゆるハラスメントの根絶を

指針案を撤回しILO条約批准へ法整備を!

 

 

十一月二十日、労働政策審議会はいわゆるハラスメント防止関連法に基づく指針案を決定してパブリックコメントに付すことを決定した。

 

今年六月、「職場における優越的な関係を背景としたハラスメントに関して雇用管理上講ずべき処置」関連法を成立させ、職場に蔓延する様々なハラスメントについて防止する措置を企業に設けることとした。

 

しかし、その際にもこの法律の決定的な問題点が禁止事項はなく、また、ハラスメントの定義を狭く実効性に乏しいなどの指摘が行われた。同じ六月にはILO総会が、仕事の場におけるあらゆるハラスメントを禁止する条約を九二%の賛成で採決した。日本の関連法の不十分さが改めて浮き彫りとなった。

 

ところが、前述した関連法に基づく指針案は、ハラスメントを防止するという目的から大きく逆行し、企業に言い訳を指南し、かえって容認、拡大することにもなりかねないものだ(詳しくは厚労省HPで確認できる)。政府はこの案をパブリックコメントを経て二〇二〇年六月一日より適用することを決定している。

 

この指針案ではハラスメント例を挙げながらも、あえてハラスメントにあたらないという例を列挙している。例えばハラスメントに該当しない例として「懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること」などを挙げている。JR福知山線事故の際に問題となった運転手への日勤教育を想起する許しがたいものだ。

 

全労協労政審開催当日、雇用共同アクションの仲間と共に厚生省前で抗議行動を行った。各労組からもパブコメへ意見を集中させ、指針案を撤回させると共に、ILO条約に基づいた法整備のために闘いを続けよう。