全労協/ 19けんり春闘・参議院選挙勝利へ / 新聞 2019年5月号

全労協19けんり春闘参議院選挙勝利へ / 新聞 2019年5月号




技能実習生の強制帰国は許さない

リキ・アムルーラさんは、二〇一八年一月八日に来日。二月八日まで研修を行い、安芸津のカキ養殖作業所で働く予定であった。規約期間は三年間で、給与額も明記された契約書にサインをした。日本に来るために、畑を担保に七十万円の借金をした。

そのインドアネシア人技能実習生リキ・アムルーラさんが、受入協同組合の下での語学研修中に「日本語ができない」という理由で強制帰国させられた事件である。

二〇一八年一月三十日、強制帰国させられそうになったリキさんが、友人の手を借りて逃げてきて保護され、翌日の三十一日にスクラムユニオン・ひろしまの事務所を訪れユニオンに加盟した。すぐに、受入協同組合である中亜国際協同組合と団体交渉を行ったが、中亜は日本で座学研修を続けるという団交確認を反故にし、翌日にはリキさんを強制帰国させた。

その後の団交要求はすべて拒否してきた。このような外国人技能実習生に対する強制帰国、団交拒否は犯罪である。われわれは、技能実習生の人権を守るためにも、六月二十七日、広島県労働委員会に不当労働行為救済申立を行った。

広島県労働委員会での不当労働行為の調査は困難を極めた。それは、リキさんと直接連絡が取れず、具体的な立証が取れなかったからである。中亜は、送り出し機関であるグナマンデリンと連携し、リキさんがユニオンを脱退したとか、インドネシアで親と農業をやりたいので日本には戻りたくないなどとかウソをでっち上げ、主張をしてきた。

それでも、なんとか手紙でリキさんと連絡が取れたが、肝腎なことを立証するまでには至らなかった。ところが、事態を一変させるような劇的なことが起こった。東南アジア民衆の生活を研究しているI先生が、直接インドネシアに赴きリキさんと会って「日本に戻りたい。戻って働きたい」という意思を確認したのである。

その後の労働委員会でやりとりには明らかな変化が生じた。われわれの主張を裏付けるリキさんからの電話連絡やメールのやりとりを証拠として出すことができるようになったからである。そして、リキさん本人も来日して証言を行う決意を明らかにした。来月には労働委員会での証人尋問が予定されている。われわれは、この証人尋問を何としても実現し、これまで闇に葬り去れていた技能実習生たちの強制帰国をあぶり出し、彼らの人権と利益を守り抜くつもりである。