全労協/ 外国人労働者の使い捨てを許すな! / 新聞 2019年1月号

全労協外国人労働者の使い捨てを許すな! / 新聞 2019年1月号


外国人労働者の使い捨てを許すな!


入管法改正案が強行採決により可決成立した。人手不足の解消を理由として、四月から新たな受け入れ制度が導入される。いわゆる単純労働の業種に外国人労働者を正面から受け入れることになり、これまで専門職に限ってきた政策からの大きな転換となる。新制度では、新たな在留資格「特定技能」を制定し、特定技能一号では家族帯同を認めない。二号では認めるとしているが、移行条件などは明確にされていない。五年もの期間(技能実習からの移行の場合は八年から一〇年)、家族生活を認めないことは、著しい人権侵害と言わなければならない。

政府は「移民政策ではない」と強弁しつつ、外国人労働者を生活者としてではなく、「外国人材」として期限つきで都合良く使い捨てようとしている。

法案審議の過程では、失踪者への聞き取りデータから、現行の技能実習制度の問題点、とりわけ低賃金や長時間労働パワハラなど失踪せざるを得ないような過酷な実態が浮かび上がった。高額な手数料支払いのために多額の借金をかかえて来日する現実、ブローカーの介在と中間搾取、相つぐ強制帰国など、技能実習制度の構造的問題が新制度でも引き継がれることは避けられない。

技能実習制度では受入団体(監理団体)は認可制だが、新制度での「登録支援機関」は届出制とされた。また、特定技能では転職も可能とされているが、はたしてハローワークで円滑な求職活動が可能なのか。多言語対応など行政の課題は何も明らかになっていない。

日立笠戸での技能実習生一〇〇人の大量解雇、シャープ亀山の外国人派遣労働者三〇〇〇人雇い止めなど、各地で雇用破壊が起きている。新制度では派遣労働も認められており、雇用の調整弁、使い捨て労働力として利用されることが目に見えている。技能実習制度の実態は「技能移転、国際貢献」の建前から大きくかけ離れ、「人身取引」「奴隷労働」であると国際団体から繰り返し非難されている。

外国人労働者への不当な搾取や虐待、差別、人権侵害を許してはならない。多民族多文化共生はすでに私たちの社会の現実である。共に働き、共に闘う仲間として、外国人労働者と連帯する課題がいっそう重要なものとなっている。