全労協/ 何が外国人労働者拡大だ! / 新聞 2018年12月号



●大阪教育合同労組 
技能実習生問題をほったらかしで何が外国人労働者拡大だ!


今国会で、労働力不足を補うことを目的とした、外国人労働者受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)改正案の審議が行われています。

安倍首相は十月二十四日の所信表明演説で、「一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れる」と表明し、来年四月に新制度を導入する方針で、今国会での成立を目指しています。移民・難民受け入れに関し、消極的だった安倍首相が、外国人労働者受け入れ拡大に舵を切ったことに、唐突な印象を抱いた人は少なくないでしょう。

今回の入管法改正の狙いは、これまで「高度な専門人材」に限定されてきた就労資格を、単純労働にも拡大することが狙いです。外国人技能実習制度で働く外国人に、最長五年間の技能実習を修了した後、さらに最長で五年間の就労資格を与えることを検討しています。しかし、定住につながる可能性がある、家族の帯同は認めないというものです。安倍政権を支持する保守層からの反発を防ぐため、「移民政策ではない」と主張しています。「今すぐ労働力はほしいが、日本に定住されては困る」が本音。あまりに都合が良すぎませんか?

野党合同で開催された技能実習生問題に関するヒアリングでは、実習生の口から、深夜までの長時間労働、日常的なパワハラ、残業代時給三〇〇円、仕事中に指を切断しそれを理由に帰国を迫られたなど、まさに「奴隷労働」とも言える実態が語られました。何年も前から労働組合等が指摘してきた技能実習生制度の問題を解決せぬまま、受け入れ拡大を決めることは拙速であり、新たな被害者を生むだけです。

スイス人作家マックス・フリッシュがこう言っています。「我々は労働力を呼んだが、やって来たのは人間だった」外国人労働者は取り替え使い捨て可能な部品ではなく、私たちと同じ人間であり労働者です。

 (大椿裕子執行委員長)