移民・難民の排除ではなく共生を / 全労協新聞 2021年6月号

 

移民・難民の排除ではなく共生を 全労協新聞 2021年6月号

 


#全労協 

 

入管難民法改悪反対行動から
移民・難民の排除ではなく共生を


 菅政権が、五月十八日「入管難民法改悪案」を取り下げました。これにより法案は、事実上の廃案になりました。今回の入管法改悪案の問題点の第一は、難民申請している人に対して三回以上の申請に対しては原則として「送還停止」を認めないとしていました。第二の問題点は、退去強制の拒否に刑罰(罰金や懲役刑)を科すことです。第三の問題点は、逃亡の恐れがない外国人へは、支援者らを監理人とする監理措置制度が盛り込まれていました。今回の取り下げでこうした改悪は全て取り下げられました。しかし、これで入管難民法の問題が解決したわけではありません。

 

 五月二十一日出入国管理庁は、二〇二〇年の在留資格取り消しの件数が一二一〇件(二〇〇五年以降最大)あったと発表しました。「技能実習生」(五六一人)「留学」(五二四人)だということです。この中には、収容中に死亡したウィシュマンさんも合まれています。在留資格を取り消されだ人びとが、劣悪な環境の「収容施設」に帰国又は仮放免されるまで閉じ込まられる制度は変わっていません。

 

 全労協に加盟する地域ユニオン・合同労組は、「技能実習」が安価な労働力として外国人を利用する制度であることに批判しながら生存のために声を挙げる外国人への様々な支援を行ってきました。また、コロナ禍の中で職や住まいを失い食べることもできない人びと(この中には多くの外国人が)に対して年始年末の相談村などの活勣を行い支援してきました。今後もこうした闘いを進めながら、難民認定や特別在留許可を出させ、移民・難民の排除ではなく共生できる制度・社会を目指して闘いましょう。

 

全労協常任幹事 藤村妙子)