全労協大会決議2 すべての原発を廃炉にし、自然エネルギー転換を求める決議(案)



原発再稼動・原発輸出反対!
すべての原発廃炉にし、自然エネルギー転換を求める決議(案)

 東京電力福島第一原発事故以来7年半もの歳月が経過している。しかし未だに、自主避難者を含めると7万人を超える、福島県内外への避難者の厳しい暮らしがある。こうした状況にも係わらず、福島県の内堀知事は、昨年2017年3月に避難者への住宅支援打ち切りを表明した。そしてさらに、2020年3月には、帰還困難地域住民に対しても住宅補助を打ち切ることを打ち出した。国の年間放射線20ミリシーベルト以内地域への帰還政策の元で、被ばくによる健康被害や子供の甲状腺がんが多発している。国や東電の事故責任を回避する姿勢は、汚染水放出の動きと相まって、今なお被災者と福島県民に対し多大な損害・健康被害、精神的な苦痛をもたらしている。被災者らが集団で起こしている民事訴訟も約30ある。東電責任者の責任を問う刑事裁判も、いよいよ年内結審、年度内判決の段階にある。国も東電も福島県も、被災者一人ひとりの声に丁寧に耳を傾けねばならないにも係わらず、責任を果たしていない。

 全労協は、まずもって福島県民の現状を理解し、寄り添い、共に闘っていくことを表明する。

 こうした中で安倍政権は、依然として原子力発電を国のベースロード電源の一部として位置づける方向を示し、「第5次エネルギー計画」の中で、2030年度に目指す電源構成として、原子力発電の割合を約20%にするとしている。また、核燃料サイクル政策は維持し、原発輸出を積極的に進めるとしている。福島第一原発事故の教訓も省みず、原発から出る「核のゴミ」処分の技術も廃棄場所も確立されて無い中で、危険な老朽原発の再稼動を進めるに到っている。東日本大震災以降に再稼動した原発は、すでに5原発9基に到っている。

 高速増殖炉もんじゅ」には1兆1千億円もつぎ込み失敗し、その廃炉にも4000億円はかかるという。また、すでに東電福島第一原発事故対策費として13.5兆円を東電に貸し付け、利息は国民に負担させようとしている。そしてさらに、100キロ圏内に100万人が住むという立地にある老朽東海第二原発の再稼動をも認可し容認しようとしている。

 そして既に適合審査を許可された東電柏崎刈羽6,7号、関西電力高浜1,2号,美浜3号機、九州電力玄海4号機は再稼働の準備を進め、北海道電力泊原発をはじめ審査を申請している原発は11機にも上っている。各地の闘いで再稼働を阻止しなければならない。

 さらには、日立を中心とした原発輸出を、成長戦略の一環と称し国を挙げて支援しようとしているのが安倍政権だ。世界的に再生可能エネルギーへの転換に向かって進んでいるにもかかわらず、「原子力ムラ」の利益を守ることに固執し、「我が無き後に洪水よ来たれ」と、悔い改めず無責任極まりない政策を続けている。断じて許せるものではない。「核と人類が共存できない」ということはすでに自明の理となっている。こうした中で今後は、全労協としても、経産省交渉、環境省交渉など対政府交渉を強めることが求められている。

 全労協は、すべての原発廃炉にし、自然エネルギーへ転換を求める脱原発の闘いをさらに強化していく。安倍首相の「福島はアンダーコントロール」されているとの大嘘を暴露し、さようなら原発1000万人アクションの行動や総がかり行動、そして全労協脱原発プロジェクトの企画による様々な集会や福島フィールドワークなど、脱原発の運動を強めて行く。労働組合として唯一継続されている東京電力への直接申し入れ行動では、引き続き廃炉作業における被ばく労働・労働者の安全と健康の問題を問い続け、東電の姿勢を正していく。そして、廃炉作業に携わる中で労災認定され損害賠償裁判を闘う「あらかぶ裁判」等の原発訴訟を全労協総体で支援し、裁判勝利を勝ち取っていこう。

以上、決議する。

2018年10月1日
第30回定期全国大会