全労協/ 労働組合こそが 性暴力反対の先頭に / 全労協新聞 2018年7月号

全労協労働組合こそが 性暴力反対の先頭に / 全労協新聞 2018年7月号


直言 激論

大阪教育合同労組委員長
大椿 裕子


労働組合こそが
性暴力反対の先頭に


 去る五月二十六日、大阪教育合同労働組合は第三十回定期大会を迎えた。大会議案の中には、「性にかかわる一切の差別を許さず、自分らしく働ける環境づくりをめざすたたかい」という項目がある。

 今年は世界的な広がりを見せた#MeToo運動について触れ、これまで「セクシュアル・ハラスメントを許さない運動に取り組みます」としていた方針は、「セクシュアル・ハラスメント、性暴力を許さない運動に取り組みます」と改訂した。

 日々、女性たちが曝されている危機感は、もはや「セクシュアルハラスメント」という言葉では収まりようがないと痛感する出来事が相次いだからだ。

 就職の相談のために食事の場を共にした、安倍首相お抱えのジャーナリストからレイプされた女性ジャーナリストの告発。福田惇一財務次官から繰り返しセクシュアル・ハラスメントを受けていた、テレビ朝日の女性記者の告発。

 仕事をだしに性暴力を行う卑劣な人間の存在に、憎しみを伴った怒りが彿き起こってくる。

 多くの場合、仕事と関連する場所や関係性において、セクシュアルハラスメントや性暴力の被害が起こっているという現実を受け止めるならば、労働組合こそが、「性暴力は絶対に許さない」という運動の先頭に立たなけれぱならない。

 しかし、未だに「男社会の最たる場所」などと言われる労働運動が、「そんな運動の先頭に立てるものか」「その前に自己批判しろ」と皮肉を言われるのは想像に難くない。

 大阪教育合同労組は、「正規と非正規が共に闘う労働組合を作ろう」と一九八九年に結成された。

 結成当時は、公立学校に勤務する教職員が中心で、常勤講師をはじめとする非正規組合員の多くが女性だった。臨時職員・講師雇用継続闘争は、教育合同の運動の主軸だが、非正規問題に向き合うならば、女性差別の問題に向き合わざるを得ない。

 組合員はその現実を突きつけられた。時に、非正規の女性組合員たちから厳しい批判を受けながら、喧々諤々議論を重ね、性差別の問題にしっかり向き合う組合へと鍛えられてきた。性差別の問題で不要な消耗を強いられない組合に出会えたからこそ、私は労働運動に可能性を感じ、今も続けられているのだと思う。

 労働組合を、女性たちが生き生きとリーダーシップが取れる場所にしよう。そして、労働組合からも、職場からも、あらゆるセクシュアル・ハラスメントと性暴力を許さない闘いを広げよう。