労働法制改悪と極端な規制緩和 高まる組織された労働者の責任  全労協新聞 2013年7月号 2面から



●第8回全労協組織化合宿

労働法制改悪と極端な規制緩和
高まる組織された労働者の責任


五月二十六日から二十七日にかけて、第八回全労協組織宿た。今は、非正規労働者の現状と労務」をし、五つの単産・単組からの現場報告と、竹信三恵子和光大学教授の講演で構成し、中原常任幹事が初日・二日目をた。

初日は冒頭、金澤議長の挨拶を受け、直ちに、渡辺(啓)常任幹事が基調を提起し、安倍政権の「成長戦略」によって労働法制の改悪等を通じ搾取・収奪が強められようとしており、これに対して闘う労働組合の必要性と、組織された労働者の責任とが高まっている情勢のもと全労協が積極的に闘いを担う重要性を確認し、この合宿を組織化と全国的にも繋がりあう契機とする狙いが明らかにされた。

単産・単組の現場報告は、まず、国労東京地本の常盤執行委員から、JR東日本の契約社員「グリーンスタッフ」について、導入背景と労働条件等が報告された。正社員と同じ業務である一方待遇に相違があること、正社員登用試験があるものの合格率は二五%から三〇%程度であることなどその実態と、国労としての組織化等の取り組みが紹介された。郵政産業労働者ユニオンの倉林中央委員は「郵政正規雇用の経過と現状」とし、郵政非常勤の期間雇用社員における月給制契約社員・時給制契約社員・エキスパート社員の区分と、各々が正社員との間で年収・ボーナス・休暇等にも格差があり、正社員への登用も厳しい現状を報告。改正労働契約法の活用規・非で、多層化する雇用による差別・分断を打ち破る闘いの強化を訴えた。

全国一般全国協いわき自由労組の牧野書記長から「被ばく労働者の組織化への取り組み」について、除染労働の過酷な実態と、建設産業における多重請負の構造的な問題を背景とした、除染に係る特殊勤務手当中抜きの生々しい実態など、不当かつ理不尽な労働現場における取り組みが報告された。大阪教育合同の大椿副委員長が自ら闘った「関西学院大学障害学生支援コーディネーター雇止め事件」を振り返りつつ、正規と非正規がともに闘う労働組合を組織する必要があり、非正規労働者自身が本気で怒りを上げなければ労働委員会や裁判所の判断を動かせないと訴え、改正労契法の施行を踏まえ、早期に労働組合の組織化と雇止め解雇阻止の運動を作り出す必要性を強調した。

二日目は、引き続き現場報告として全水道東水労の諸隈副委員長が、東京における水道・下水道事業の業務委託問題と、監理団体労働者の実態、組織化に向けた取り組みを報告し、業務委託による重層的雇用形態が低賃金・不安定雇用労働者を作り出し、直営の職員側の技術継承も困難となる実態を踏まえ、職員と関連労働者ともに労働条件を確立し、公営事業としての責任を果たす重要性を明らかにした。

非正規労働者の現状と労働組合に求められているもの」と題し、働く者と働く場の現状を幅広く捉えるものであった。竹信教授は、その結論部分でアベノミクスと労組の役割に関連させ、規制改革会議における限定的正社員の解雇規制緩和など、新たな身分差別と有期の細切れ化の恐れがあり、組織されない働き手の支え作りが必要であることを踏まえ、改正労契法を活かして有期雇用の無期への転換に結びつけ、労働条件の均等待遇を実現することがきわめて重要な課題であり、そのための相談拠点の強化など労働運動の責務を強調した。

最後に中岡事務局長がまとめを行い、組織化合宿を終えたが、四月からの改正労働契約法の施行、規制改革会議等安倍政権のもとで一層の労働法制改悪と雇用制度の極端な規制緩和議論が進められる渦宿は、現場段階における正規・非正規の労働者の連帯や非正規労働者自身の闘いに学びながら、情勢に対する危機感と労働組合としての課題・責務を共有する貴重な場となった。


●組織化合宿に参加して
真剣な取り組みを

練馬全労協からは、私と三澤副議長と練馬地域ユニオン梶が谷副委員長三人で参加してきました。

現場報告ということで①国労からの報告②郵産ユニオンの非正規組織化③福島・除染作業労働者組織化④大阪教育合同・大学非常勤労働⑤東水労の実践と五団体からの報告がありました。国労と郵産ユニオンは職場に非正規の労働者が増え、正規化の取り組みが思うように進まない話がありました。非正規の組合を立ち上げたが、会社との交渉で正規化の採用が思うように進まない、悩みを話して貰いました。福島の労働者からは、せ、派遣会社から労働者を派で、賃金や劣悪な環境で働かされている話がありました。

大阪教育合同からは大学非常勤の実態として、正規と非正規も同一労働で同じように仕事をしている。違うのは賃金と期限付きの雇用で雇止めにあう、理不尽な大学の対応と怒りを持って大学側と闘う話がありました。東水労からは水道の下請けに株式会社を立ち上げ、そこに今まで行っていた仕事を委託してきた。委託先の労働者の賃金・労働条件は劣悪な中で働き、仕事を教えても仕事を覚えたころにやめてしまう事態が起きている状況の話がありました。まさしく正規労働者が、今後真剣に取り組みを行われなければ、我々も厳しい状況に追い込まれていくことを肌で感じました。

二日目は、竹信三恵子先生和光大学教授)の「非正規労働者の現状と労働組合に求られているもの」というテーマで話をして頂きました。竹信さんの説明によると「三人に一人が非正社員」の社会はどう作られたか、非正社員増加が連れてきた社会の問題点として事例の話をして貰いました。印象に残ったことは労働者派遣法改正・パート労働法改正・労契法改正等「残業や配転などの雇用管理の違いによる賃金差を認めてしまったこと」の話でした。竹信さんの書籍『ルポ賃金差別』『しあわせに働ける社会へ』が、我々が取り組んでいかなければならない課題を、竹信さんから学び大きな宿題を持ち帰ってきました。今後の活動に参考にして、実践していきたいと思いました。

(練馬全労協事務局長 真下宗治)


●組織化合宿に参加して
性労働者を応援

合宿で特に印象に残っているのは、大阪から参加された女性が副執行委員長で、この四月に三役が全員女性に世代交代したと知りビックリ、というか羨ましい。羨ましいと言うと語弊があるかもしれないですが、今の日本の労働現場ではまだまだ男尊女卑で女性が弱いと認識されていて虐げられていて差別されています。だからこそ立ち上がる女性はカッコいいし強い女性は格好いいと思いました。全国一般三多摩労組はこれからは特に女性労働者と非正規労働者を応援していきたいと思います。三多摩の強い女性、朝す。

(全国一般三多摩労働組合 福田健一)


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