全国一般東京東部労組 HTS支部塩田さん職場復帰が実現  全労協新聞 2013年6月号 4面から


全労協新聞 2013年6月号 4面から
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
 


●全国一般東京東部労組
HTS支部塩田さん職場復帰が実現
 
阪急交通社の旅行に添乗員を派遣する株式会社阪急トラベルサポート所属の添乗員である塩田卓嗣さんは二〇〇七年一月、労働条件の改善を求めて仲間たちと全国一般東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート支部を立ち上げました。

二〇〇八年七月、塩田さんは組合活動の一環として週刊誌「週刊金曜日」の取材に応じ、派遣添乗員の過酷な労働環境と労働組合結成の経緯が「週刊金曜日」翌年二月二十日号に掲載されました。これに対し阪急トラベルサポートは同年三月十八日、取材に応じただけの、文責もなく発行主体でもない塩田さんに対して、「記事の内容は虚偽の事実」とし、「今後、添乗業務のアサイン(仕事の割当)をしない」と通告してきたのです。
 
派遣添乗員の待遇改善を先頭でたたかってきた塩田さんを見せしめにした組合つぶしであり「不当解雇」であるのは明らかでした。組合は同年五月、東京都労働委員会(都労委)に不当労働行為の救済申し立てを行いました。

二〇一一年二月、都労委は塩田さんへの「アサイン停止」(事実上の解雇)が不当労働行為であり、塩田さんを添乗業務に復帰させることを阪急トラベルサポートに命令しました。組合勝利の命令です。しかし、阪急トラベルサポートはこの都労委命令を不服として、都労委の上級審である中央労働委員会(中労委)に「再審査申し立て」を行いました。

これに対し同年十一月、中労委も「アサイン停止は不当労働行為」と会社を断罪しました。会社はこの中労委命令にも従わず、中労委を相手に命令の取消を求め行政訴訟を提起しました。しかし東京地裁は今年三月二十七日、会社の訴えを棄却しました。都労委・中労委に続き、三度にわたり会社の不当労働行為が断罪されたのです。

この判決と同日、中労委が申し立てていた「緊急命令」を認容する決定が東京地裁からありました。「緊急命令」とは、労働委員会が発した救済命令を不服として使用者が裁判所に行政訴訟を提起した場合、裁判所が使用者に対し、行政訴訟の判決が確定するまでの間救済命令を履行するよう命令する、つまり、「裁判(行政訴訟)で争いを続けたとしても、労働委員会の命令は守りなさい」という「争いの引き延ばし」に対する救済制度です。

これにより、たとえ控訴したとしても会社は塩田さんを職場に復帰させなければならないことになりました。また、緊急命令の決定に対する使用者側からの異議申立てはできず、「従うか」「従わないか」の二者択一を会社に迫ることとなりました。

さらに、緊急命令を履行しない使用者には過料の制裁が科されます。組合はこの緊急命令を背景に塩田さんの職場復帰実現を会社に迫りました。そして五月十日、塩田さんは会社と面談を行い、その場で塩田さんへのアサイン停止が解除されました。ついに職場復帰が実現することになりました。
 


 
(F)