労働者の被曝を最小限に食い止めるため - 全労協新聞 2012年3月号 3面

全労協新聞 2012年3月号 3面
 


脱原発プロジェクト(電通労組)
 
労働者の被曝を最小限に食い止めるため
除染と線量測定、健康診断実施を要求
 
 
東京電力福島第一原発爆発から一ヶ月後の四月十三日NTT東日本は、原発から九km地点にある富岡ビルに総勢十五人の「管理者」を派遣して、東電の放射線技師を伴い交換機や伝送装置の修復を実施した。国からの要請があり、「親局」である富岡ビルを修復しないと県内の通信網が回復しないという会社の説明であった。(放射線問題で組合対応をする時間が取れないということで管理者派遣になったようだ。しかし、管理者だから被曝しても良いとはならない。)同日、ドコモの労働者と下請会社の労働者も、広野町折木地区(二五km地点)で鉄塔へのアンテナ取付けを実施して、原発敷地内の使えない携帯電話回復のための作業を行っている。福島第一原発から一〇Km内の警戒区域にある三ビル(大熊、双葉、浪江)は、未だ手が付けられない状態で修復の目処がたっていない。

二〇km圏内の警戒区域での作業については、国の要請や「真にやむを得ない」場合以外は実施していないとしているが、二〇km圏外の計画的避難区域や緊急時避難準備区域での作業時には、放射線測定器を持ち、開始前に周辺環境の放射線量値を測定し記録しながらの作業が続いている。作業時間と線量累積管理についても実施しているとしている。

会社は、組合との団体交渉のなかで、被曝線量についての考えについて、「電離放射線障害防止規則第四条(放射線業務従業員の被曝限度)の五年間につき一〇〇msv(一年間につき五〇msvを超えない)を基準」として、「五年間一〇〇msvの五分の一二〇msvを年間被曝限度としている。」と答弁している。放射線業務従業員と同等の「限度値設定」は論外であり、放射線に関して「安全な閾値」などない。労働者の被曝を最小限に食い止めるためにも、もっと厳しい規制が必要だ。川内村などのように「帰還宣言」が出され(これも安全性に多いに疑問があるところだが)、住民が戻ってくれば、線量の高い地域、ホット・スポット、汚染されたNTTビル、柱やケーブル等の環境の中での作業が出てくる。ビルを始め通信設備や工事用車両の除染、社宅を初めとした地域の除染と線量測定の実施や労働者全員の健康診断を実施するように会社に求めている。

電通労組は被災地の組合として、被災地復興と脱原発社会の実現に向けて、「高齢者と子ども達を大事にし、自然と共生する社会の実現を目指す復興!」をスローガンに、子どもたちなどの「災害弱者」に寄り添いながら闘いを展開してきた。

福島支部では、子どもたちを守るために立ち上がった母親たちの闘いの支援活動や地域住民とともに除染活動、線量測定と測定値の地域への回覧など、青森支部では六ヶ所の核燃料サイクル基地に反対して毎月のデモが二五〇回を数えた弘前の「放射能から子ども達を守る母親の会」の闘いを支え、宮城支部では、女川原発の再稼動を許さず廃炉に向けた町議選での反原発候補の支援や、宮城全労協とともに宮城県当局の県内の放射線量測定、福島と県境を接する丸森町をはじめとする住民の健康調査、県北地域を中心にする「稲ワラ」問題等々への無対応に対する県への申し入れなど、首都圏支部では、さようなら一〇〇〇万名署名アクションを初めとした脱原発の闘いに積極的に結集し闘ってきた。あと三基で原発稼動ゼロが実現する。全力で再稼動を許さない闘いを展開していく。

電通労組 日野正美)
 


 
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