職場の放射能汚染と対策 住民と労働者の安全求めて闘う  全労協新聞 2012年2月号 2面

全労協新聞 2012年2月号 2面
 


脱原発に向けた労働者の闘い


 
●東京清掃労組
職場の放射能汚染と対策
住民と労働者の安全求めて闘う
 
 三月十一日の東日本大震災に伴う福島第一原発事故を受け、放射能汚染に関してマスコミから様々な報道がされました。私たち清掃労働者として放射能の数値等や影響について理解が深まっていないなか、不安だけが増殖していました。また昨年六月、江戸川清掃工場の飛灰(排ガスに含まれるダスト)から国の基準である八〇〇〇ベクレルを超える放射性物質が検出され、その飛灰を工場内に保管することを余儀なくされました。
 このことを受け、東京清掃労働組合本部として昨年七月に江戸川清掃工場、また併せて十一月新聞等で報道された高いレベル放射能を検出している千葉県の清掃工場も視察し、そこで働く職員が不安を抱えながら仕事をしている姿を見て、放射能汚染に関して学ぶ必要性を痛感しました。
 また一方で東京都において東日本大震災の災害廃棄物を受け入れる議論が進んでおり、わが組合の顧問医である亀戸ひまわり診療所平野敏夫先生と相談し、放射能汚染に関して素朴な疑問と率直な不安やその内容を組合全体で共有化し、理解を深めるための学習会の企画を進めていました。そうした中、十一月二十四日に一組当局から、品川工場・大田工場において災害廃棄物を燃焼実験するというプレス発表がされました。
 緊急に年末に行われた十二月七日の学習会には四八人の参加がありました。そのなかで平野先生は「清掃労働者はいわゆる原発労働者とは違う。放射能障害予防規則の適用外であり、今のところ基準がない。一般人と同様、積算線量は年間一ミリシーベルト以下を目安にかんがえていいのではないか」と考え方が示されました。さらに被曝の可能性のある職員の線量計の着用、作業現場の空間線量測定や健康診断の徹底・充実のほか、ごみ集積所の放射能測定、下請け労働者被曝対策等の課題も指摘されました。

 実際に工場で働く組合員から、日頃からダイオキシン対策を行っていることもあり、保護具の対応はされているが、九月下旬に全工場に空間線量計が導入され、作業前にすべての作業箇所で測定していること。線量計の記録を二五年間当局に保存させていること。下請け労働者との連携等の職場での安全対策の報告がされました。

 依然福島第一原発事故が収束していないなか、今後も放射能汚染に対する対応が引き続き求められています。働く組合員や下請ける労働者の安全に働ける職場環境と、災害廃棄物が搬入される区の住民が安心して生活できるように、今後も認識を深め、当局に職場要求を突きつけ、要求実現のため闘いを強化していきます。

(東京清掃労働組合 坂本浩明)
 


 
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