広がる脱原発の闘い 国鉄労働組合/ 全労協新聞 2012年1月号 2面

全労協新聞
 

●広がる脱原発の闘い
 
 
郡山の放射能汚染実態を測定
原発事故の安全対策でJRと団交
 
 国労組合員も約二十人が二十km圏内に暮らしており、避難時は着のみ着のまま、隣町の避難所に避難をしたそうです。また、二十km圏内の警戒区域の組合員と、そこを跨いで通勤をしていた組合員は、順次、会社の社宅に入り単身での寮生活を余儀なくさせられ、その上、兼務発令で新たな職場に異動し、最後まで残された組合員約十人については七月二十五日に同様に新たな職場へと異動して自宅待機から職場復帰をするという状況など、この原発事故によって、職場の仲間同士はおろか家族さえも引裂き、いつ帰られるやねしれない日々が続いています。
 
 こうした状況の中、国労仙台地方本部は仙台支社に対して、乗客や労働者の労働条件と安全を守る立場で申し入れが行われましたが、
 
① 射線量が高い実態継続する中での会社の認識では…
政府や国・自治体の指示を踏まえ対応していく。国の警戒区域、特定避難勧奨地点に該当しないため対策はしない。産業医による衛生講和を開催している。
 
② 非常時におけるマニュアル等の整備の問題では…
これまで同様国や自治体等の指示により対応となる。言われているのは三四kmで三十km圏外であり測定の計画はない。

 
 放射線被曝防止策については…
現在、放射能は放出していないと考える。ヨウ素剤の配布についても今のところない。
 
④ 放射線の上限値についても…
年間二十マイクロシーベルトに対して、測定しないとわからないと主張しても、その考えはないという回答に終始しています。
 
⑤ 積算の線量計の職場配備については…
配備する考えはないという不誠実な回答に終始しています。
 
 こうしたやりとりの中で、仙台地方本部では、とりわけ郡山地区の放射能汚染実態について、仙台地本は四つの線量計を購入し、自分たちで測定を行った表なども作成されてきたわけですが、一時間辺り八・八〇や五・八〇や五・〇二など高い線量率の場所や、一人ひとりの組合員の累積線量も積算で一四・一二や一一・二六や九・八七などの高い値も出ており、こうした測定値をもとに交渉なども進めるということでした。
 
 こうした事実を元に九月にJR東日本本社・東日本本部間の交渉では「原発事故への対応や復旧作業等に従事する関連会社等の社員の安全確保」などについて交渉が持たれていましたが、その中では
 
① 線量について、年間二十ミリシーベルトが政府基準であり、会社としても二十ミリシーベルトと考える。二十km圏内には基本的に立ち入ることはない。
 
② 郡山のある社宅では測定した結果高い線量がある事がわかった福島県で一万五千人の子供たちが避難をしているさ中、その社宅では放射線量が一向に下がらず周りは自主避難する中、社員・家族は苦慮しているという具体的な対応を迫っても、線量計には不安定なものもある。ばらけた数値が出る事もあると、測定を行わない責任を投げ捨てた無責任な態度とも言えるものです。
 
③ 放射線の測定の必要性についても主張すると、水戸地区では健康診断の要望があった。いわき地区では線量計も準備してやるなど会社として不安を払拭するため取り組んでいる。残留している放射線量が高い事など指摘しても、国は福島で一一〇箇所程度の提示測定を実施しているので、モニタリングを活用している。など、あくまでも国・政府の基準で行うという態度に終始しています。
 
 国や東電の値が信用できない事から、各自治体でも独自の測定が行われだしたことから言っても、今後も会社に対して交渉も強めるとともに、各職場・期間から追及をしていく体制を作っていくことが、放射能から自分たちの体、健康、そして命を守る事につながることだと考えますし、そして被爆国である日本で、これ以上の被曝者を出さない。まして、これから将来を支える子供たち明るい未来を作るため、これまでの原発推進政策から再生可能な自然エネルギー政策の転換に向け、今後も奮闘していく決意です。
 
(鈴木郁夫国労中執・全労協常幹
11・18脱原発労働者集会発言より)
 
 
イメージ 1


 
(F)