企業間競争の犠牲は労働者(プリントパック)

(以下、全印総連・京都の〝プリントパックでの死亡労災事故の経過と背景〟からの転載です。26歳の青年労働者が労災事故で亡くなっています)
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プリントパック社の木村進治社長は顧客向けパンフレットの中で自社を次のように紹介しています。
『新しい印刷のカタチを開発する。従来高品質であるがゆえに価格も高く、敷居の高かった「オフセット印刷」の世界にインターネットをはじめとするIT技術を活用することで圧倒的な低価格を実現。これによりデザイン・印刷関係などのプロフェッショナルユーザーには「受注競争に勝ち抜く価格」を、また一般企業のクライアントには「印刷経費の激減売上アップ効果」を提供すべく取り組んでいる。こうした評価として業界屈指のリピート利用率や年間100回以上利用のヘビーユーザーも多い。また個人顧客からの利用も急増しており「オフセット印刷の感動を広める」「誰もが気軽にオフセット印刷を利用できる」ことを志している。現在会社を挙げての「日本一安い価格」への挑戦を続けている』。
 
しかしインターネット受注は、24時間型物流体制に支えられて地域間距離差を取り除き、ひたすら「安さ」を競い合うベンチャー企業は全国に拡大しています。これらの企業競争は、あたかも牛丼の価格競争のようにどこかが倒れるまで単価を下げるダンピング競争となり結果として「ひたすら受注し続ける」事でだけ企業が存立できる構造的な自転車操業を作り出しています。どの企業も「低価格」を他社より一歩でも進めるため、コストカットに躍起となり、労務コストをカットし雇用をカットしそしてついに安全衛生もカットして労働者の命が犠牲となりました。産業構造全体の熾烈なコストカット競争の結果が今回の死亡労災事故であり、決して一企業の偶発的な事故ではありません。こういった淘汰の市場競争を展開する企業は、当然地元の経営者団体(京都府印刷工業組合など)加盟しないアウトロー企業で、業界としての経営・生産秩序にも参加する意思を持ってはいせん。
 
一方、昨年末にはこの会社で働く労働者から「月130時間の残業が常態化しておりこのままでは身も心ももたない」と地域労組に労働相談が持ち込まれ、全印総連が「労働組合に入って労働条件を改善しよう」と情宣活動を強めていた矢先の事故でした。