全労協/ 郵政経営の責任徹底追及へ / 全労協新聞 2015年5月号

全労協/ 政経営の責任徹底追及へ / 全労協新聞 2015年5月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm

コラム
疾風

全労協常任幹事
倉林浩

非正規差別と労災激発
政経営の責任徹底追及へ



「自分たちのことをバイトと呼ぶのはやめよう。自分たちから考え方を変えていこう」15春闘第一波行動衆議院院内集会で三月二日、二十条訴訟の原告が述べた言葉です。「非正規というのは私たちが労働者として正規ではないという意味ではありません。正規の労働者であるにもかかわらず、非正規の扱いを受けているということです」兵庫県垂水郵便局スト決行集会で三月十六日、自身が期間雇用社員である郵政ユニオン灘支部書記次長が述べた言葉です。期せずして東西で労働者としての主体宣言が出たと思いました。二十条訴訟の原告が起ち、ストライキに参加する期間雇用の組合員が毎回続き、組織活動の担い手が増加することでじりじりと組織のありようが変わってきているように思います。単なる相違や格差といった処遇の形ではなく、人としての未来につながるような水準にないということにおいて差別であることが非正規雇用問題の本質です。そこを変えていけるかどうか、これからが正念場です。

この15春闘で機会あるたびに郵政で激発する労災死亡事故のことを発言してきました。昨年八月愛知県、今年一月香川県、二月東京、いずれも期間雇用社員です。差別の中で働きながら、死の危険だけは違いがありません。日本郵便本社のデータでは労災事故の七割が期間雇用社員であるとされています。雇用構成より高い労災比率ということになります。今度は四月四日に佐賀県で死亡事故が起こりました。愛知、香川の事故と同様に配達員が道路わきに転落、顔を強打し亡くなりました。正社員です。異常事態です。会社は安全管理対策の追及というより、「危険感受性の向上」などと命令と服従による軍隊式の統制に躍起になっています。慢性的な人員不足で猛烈な量を負わされながら、トヨタ方式導入以来の徹底的な時間管理によって無理に無理を重ねる作業実態にこそ原因があります。ひとたび労災が発生しても会社による補てんがほんのわずかでしかない期間雇用社員が被災者の多くであることも状況を放置している原因です。差別が悲惨な状況を全体にもたらしているといえます。経営責任徹底追及あるのみです。

非正規差別、労災激発という「企業経営の健全性」とは真逆の実態でありながら、経営は株式の上場に前のめりになっています。そうはさせません。労働者の立場で、そして公共サービスを維持し発展させる立場でできうる限りの取り組みを展開していきます。