韓国サンケン電気労組争議勝利ヘ / 全労協新聞 2021年3月号

韓国サンケン電気労組争議勝利ヘ 全労協新聞 2021年3月号 

 


 


韓国サンケン電気労組争議勝利ヘ


解雇撤回に向けて
日韓労働者連帯は
全労協の礎


 埼玉県に本社を置くサンケン電気(株)は韓国の子会社、韓国サンケン電気(株)を一月二十日付けで清算・廃業し、全員解雇攻撃を強行した。

 韓国のサンケン電気を巡る争議は、二〇一六年から一七年にかけて韓国民主労総の金属労組韓国サンケン支会に対する組合員解雇攻撃を阻止するために、組合員が日本の親資本へ解雇撤回、生産の再開を求めて遠征闘争を闘い勝利したことは記億に新しい。

 韓国サンケン労組の労働者は当時、労組の中核を担っていたキムウニョンさんを軸にローテーションを組んで一年半に及ぶ本社抗議行動を展開していた。この闘いには全労協を中心に日韓連帯運動を闘ってきた諸団体から全面的な支援を受けるとともに、市民からは宿舎や食料品の提供も受け、ついに会社は解雇を撤回し、生産業務の再開を約して争議が解決したのである。

 ところが、昨年七月、サンケン電気本社は突然、韓国サンケンを会社ごと解散・廃止することを取締役会で決定し発表したのである。この間、労組にも韓国サンケン経営幹部にも事前の通知は行われず、この一月二十日に強行したのである。そして闘いの中で明らかになったのは会社清算の背後で、韓国内で新たな合弁会社を設立し、生産を開始する準備が進んでいたことが明らかとなっている。

民主労総・金属労組に加盟し原則的な闘いを進めるサンケン労組を忌避し、組合潰しが会社の真の狙いであることは明らかである。


日韓で拡がるサンケン抗議

 

 一昨年来の新型コロナウイルス感染症が全世界に拡がり、パンデミックが宣言され、世界的に経済活動は停滞するとともに、各国はコロナ対策に全力を集中した。こうした状況下で人びとは国際的な移動が不可能となり、韓国サンケン労組の仲間も会社解散全員解雇を決定した親会社のサンケン電気本社への抗議行動に来日することができない、極めて困難な闘いを余儀なくされている。コロナ感染症を利用して抗議行動に制約がかかることを計算した組合潰しである。

 現地韓国サンケン労組の新たな闘いの発生報告を受け、全労協をはじめとする日韓連帯運動、さいたま市民の仲間は再び相談を持ち、闘争支援のために九月三日に支援する会を再結成して、木曜日行動を中心にサンケン電気本社抗議行動を再開してきた。そして東京や大阪、九州等の営業所要請行動に取り組みながら、十二月二十日には一五〇人を超える労働者・市民で埼玉県新座市のサンケン電気本社包囲デモを行ってきた。

 現地、韓国昌原市馬山の工場前には闘争のためのテントが設営され、組合員が交互に泊まり込みなから、政府や、行政、市民ヘサンケン電気の不当・不法な会社解散、全員解雇攻撃を訴えて宣伝行動を続けている。

 韓国サンケン電気は一九七三年、当時の韓国労働者の賃金は低いこと、また外国資本の誘致を進めてきた昌原市による税制などの優遇政策を利用して一〇〇%子会社として韓国サンケン電気(株)を設立して利益を上げてきたのである。こうした経緯は、サンケン電気本社の理不尽な行動に多くの批判が集まっている。国会議員からは日本の外務省、経産省厚労省への要請文書が発出され、昌原市市議会において、会社清算に抗議する決議が全会一致で採択されるなど、マスコミも多くの時間を割いて経過と労働組合の闘いが紹介され、多くの支援が拡がっている。 

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