技能実習生除染裁判が和解解決 / 全労協新聞 2021年1月号

技能実習生除染裁判が和解解決 / 全労協新聞 2021年1月号

 


 


全統一労働組合

技能実習生除染裁判が和解解決

 

 二〇一五年、福島県郡山市の株式会社日和田で働くペトナム人技能実習生三人は、鉄筋施行、型枠施工の技能習得を目的に来日したが、長期間にわたり、郡山市本宮市での除染作業をさせられた。しかも必要な安全教育も十分に受けず、放射線被ばくの危険性も知らされないままだった。

 実習生たちは全統一労働組合に加入し、会社と交渉を行ったか、会社は「謝罪も補償もしない」との態度に終始。昨年九月、実習生たちは福島地方裁判所郡山支部において、損害賠償請求訴訟を提起した。そして十月二十三日、裁判所の和解勧告に基づき、和解が成立した。

 和解に際して、裁判所は判断を文書で示し、「一般的に海外で行われる業務ではないことに加え、技能習得とは直接関係のない除染電離則に基づく特別の教育を受けること等か必要である点において」と言及し、「技能実習制度の趣旨目的に沿わないものである」と明言した。裁判所の判断は、技能実習制度の趣旨目
的に反する運用が横行している現状に一石を投じるものといえよう。

 新型コロナウイルス感染拡大により、ベトナムにいる原告たちが証人尋問のために入国することが困難な事情も考慮し、解決金の水準には不満が残るものの、早期解決を選択することととなった。

 記者会見には、原告の一人が日本語でメッセージを寄せ、支援に対する感謝の意を表明した。裁判闘争では、東北全労協や地元福島の労働組合、外国人支援の市民団体、平和団体などからも多くの支援をいただいた。ありかとうございました。

全統一労働組合書記長 佐々木史朗

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