除染労働者 休業手当裁判 / 全労協新聞 2017年12月号

 除染労働者 休業手当裁判 / 全労協新聞 2017年12月号


除染労働者 休業手当裁判
勝利和解を地域に、全体に波及させよう


11月22日、福島地方裁判所郡山支部で、6人の組合員を原告とする「2015~2016年南相馬市、安藤ハザマ除染現場・木村電設工業未払い賃金訴訟」口頭弁論が行われ、原告側の勝訴に等しい内容で和解が成立した。

2016年、南相馬市の除染現場で働いていた労働者たちから、「人数調整のため宿舎で待機させられたり、雨天で休業になったりした場合の賃金保障が行われないため、生活できない」、「入場教育や内部被ばく検査時の賃金が払われない」、「残業手当が全くつかない、休憩時間も働いたが保障されなかった」という相談が、宮城合同労組とふくしま連帯労組に相次いで寄せられた。

組合は、未払い賃金の支払いを要求して木村電設工業と団体交渉をもった。

また、組合員たちが労働基準監督署労基法違反を是正させるための申告を行って、使用者に対する指導を求めた。

労基署の指導が極めて不徹底であったことが影響したのか、木村電設工業は開き直り、組合との団体交渉を途中で一方的に打ち切った。

本年4月、組合員たちは裁判に訴えることを決意し、労働組合にだけでなく、地域に訴え、広範な人々の支援を求め、満席の傍聴支援を行った。そして、休業手当、事業手当、危険手当、除染現場入場前教育・内部被ばく検査時の賃金未払賃金請求額の大部分に相当する金額の支払いを内容とする和解を成立させることができた。今回の和解において特筆すべきは、人数調整のための待機した期間の休業手当相当分が和解金を構成していることである。

休業手当、とりわけ雨天時の休業手当は労基署が指導を放棄し、何千、何万人もの除染労働者および福島第一原発復旧工事の労働者が不払いにあい、生活を脅かされてきた。

従って、この裁判の原告が雨天時の休業手当を回復できた意義は大きく、地域全体に波及させたい。

原発事故収拾には数十年かかる。従前から被ばく労働である廃炉作業・除染作業に放射性物質「中間貯蔵施設」の建設・運搬に関連する被ばく労働が加わる。

我々は、原発事故を引き起こした国と東京電力の責任追及を全国の人々と繰り広げると共に、東北の労働組合の責務として、現場からの声と向き合い、彼らと共に闘い抜く決意である。

全国一般全国協議会
 ふくしま連帯労働組合