コロナ危機下だからこそ最賃の大幅引き上げを! / 全労協新聞 2020年8月号

コロナ危機下だからこそ最賃の大幅引き上げを! / 全労協新聞 2020年8月号

 


 

 

中央最低賃金審議会「引き上げめやすゼロ」の答申


コロナ危機下だからこそ
最賃の大幅引き上げを!


 最低賃金に貼り付いた労働者は年々上昇し、最賃引上げによる「影響率」は一六・三%に拡大している。二〇一九年度の新最賃以下となった労働者は七人に一人に及んだ。

 

 こうした中で二〇二〇年度の中央最賃審議会は、「現行水準を維持することが適当」とし「最賃引上げゼロ」の答申を出した。コロナ危機の下で社会を支えてきた医療・福祉・介護・飲食・サービス・物流業等々の労働者が最賃に近い水準で働いていることを無視し、経営側の「引上げ凍結」の主張を優先した。最賃大幅アップ・全国一律最賃で、エッセンシャルワーカーの生活を支えることは社会的要請である。

 

 子供の貧困が七人に一人という状況で、一人親世帯の労働、未組織の非正規労働者にとっては最賃の大幅アップこそが賃上げである。安倍政権は「今は官民挙げて雇用を守ることが最優先課題」というが、コロナ危機下ですでに非正規労働者を中心に多くの雇用が失われている。「雇用を守るために最賃据え置き」というのはまやかしである。また、コロナ危機下の中小・零細企業の経営悪化は、最賃アップが原因でなく、大企業取引での収奪や政府の中小・零細企業支援対策の無策に起因する。

 

 コロナ危機を口実にした「最賃引上げゼロの答申」を、資本・経営側による賃金・労働条件切り下げの全面的な攻撃開始のきっかけとさせてはならない。コロナ危機だからこそ、最賃大幅アップで労働者の生活を守らねばならない。

 

 今後は地方最賃審での闘いが勝負だ。昨年度は、十九県の地方最賃審で中央最賃審の「めやす」額を上回る最賃額とし、僅かだが地域間格差を縮めた。全国一般は七月二十七日が山口・京都で、二十九日が兵庫・宮城、三十日に栃木、三十一日に神奈川で参考人意見陳述を行っていく。傍聴席の少ない地方最賃審議会の廊下では、抗議の座り込みを行う。引き続き時給一五〇〇円以上と全国一律最賃制度を本気で求めていこう。

(全国一般全国協書記長
       渡辺啓二)

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