日通の内部告発潰しを許さない / 全労協新聞 2020年7月号

日通の内部告発潰しを許さない / 全労協新聞 2020年7月号

 


 

スクラムユニオン・ひろしま

日通の内部告発潰しを許さない

 

 

日本通運(株)広島支店で働くAさんは、二〇一九年十月六日、二年前構内で発生した日本通運社員林現技能長によるコンテナ物損事故隠しを、コンプライアンス違反事例として社外通報窓口に実名で内部告発した。

 

林という人物は、他の社員が起こした軽微な接触事故については「すぐに報告すべきだ」と大騒ぎして、その人を退職に追い込んだような奴である。一方で、自分で起こしたフォークリフト作業中のコンテナ大破という事故は、荷主の許可を受けないまま積み荷を別のコンテナに積み替えて隠ぺいし、技能長にまで出世した。Aさんは、こういうことが許される会社の体質風土が許せず内部告発したのである。

 

ところが、Aさんが内部告発した直後の十月十七日から、コンテナ支店の岩崎支店長からAさんに対して「ヒゲを剃るように」という執拗な「指導」が四度にわたり行われた。その結果、Aさんは適応障害を発症し、出社できなくなった。

 

Aさんは髭をはやしていたが、きれいに整えており、これまで一度も会社から注意されることはなかった。Aさんは今年の一月にスクラムユニオン・ひろしまに加入し、闘うことを決意した。

 

われわれは団体交渉で、そもそも「髭剃り指導」は違法であり、かつ内部告発に対する報復に他ならない。その結果、Aさんが適応障害を発症したのであるから、会社に損害賠償と慰謝料を請求した。

 

会社は、発端となった林現技能長によるコンテナ物損事故について、多くの同僚証言を無視して事故隠しはなかったと事実を否定し続けた。内部告発と「髭剃り指導」との因果関係はないと否定したうえで「髭剃り指導」は、会社の誤りであったことを認めた。ただそれでも、岩崎支店長と上司である広島支店坂口業務課長による「Aさんに不快な思いをさせた」という「お詫び」の文書をユニオンに提示しただけであった。

 

一方で、会社は岩崎営業所長による「髭剃り指導」と適応障害との因果関係を頑なに否定し続け、組合の要求する損害賠償、慰謝料には一切応じる意思のないことを最後通牒的に表明した。団体交渉の場で、交渉するのではなく、会社の決定事項を一方的に伝えるというやり方は許しがたい。団交は決裂した。

 

われわれは、社内事故隠しを内部告発したAさんに対する「髭を剃れ」という報復=パワハラ指導を居直る日本通運を絶対に許さない。今後は裁判闘争へと移行することになるが、同僚や若い人たちのためにも日本通運を働きやすい職場に改善しようと立ち上がったAさんとともに最後まで闘う。