全労協/ 房総半島の過去の真実と今を知る旅 / 新聞 2019年10月号

全労協房総半島の過去の真実と今を知る旅 / 新聞 2019年10月号

 

 

●東京全労協2019交流合宿

 

房総半島の
過去の真実と今を知る旅


 八月三十一日~九月二日、東京全労協は「房総半島戦跡ツアー過去の真実と今を知る旅」を交流合宿として行った。あいにく各単組の会議などか重なり二三人の参加となった。

 館山の戦跡めぐりではNPO法人安房文化遺産フォーラムの皆様の案内で進められた。

 レクチャーの中で印象に残っていることは、日本地図を能登半島の方を下にして置いてみる。すると館山のある房総半島は、日本の頂点となる。ここは海上交易の拠点であり、国際交流の原点があるまちだということである。仏法山大巌院大網寺には四面石塔がある。これは豊臣秀吉の朝鮮侵賂の際に日本に連行してきた朝鮮人を帰還させる事業の際一六二四年に建立されたもので東面はハンクル、南面は日本の漢字、西面は中国の篆書、北面インド梵字で「南無阿弥陀仏」と書かれている。平和祈願を込めた供養塔ではないかということだった。四〇〇年近く前の人たちですら、隣国との関係を大切にし、供養塔を迎てているのに…と思うと改めて安倍政権の排外主義を露にした政策とそれに喝采を送る日本人のことを考えると暗澹たる思いになった。

 赤山地下壕は、手掘りで作られた地下壕で「日米開戦の前から掘っていた」という証言もあり、本土防衛の要としてこの地が戦時中もあったことを知った。また、一二八高地「戦闘指揮所」地下壕(一九四四年十二月竣工)はコンクリート造りで天井には龍のレリーフが掘られていた。

 「かにた婦人の村」にも行った。村内の急坂を上ると石の叫び「噫従軍慰安婦」の碑がある。この碑は、日本人従軍慰安婦として太平洋戦争中に従軍させられた城田すず子(仮名)さんが戦後この村で暮らしている時に悲痛な告白をし、この告白を受け止めて慰安婦の仲間たちの鎮魂のために建てられたものである。

 彼女の証言と碑のことを描いたドキュメンタリー番組が韓国で作られ、世界中に発信された。この番組も契機となり、世界各地で従軍慰安婦だった人たちが名乗りと日本の戦争責任を問う運動が始まったということだった。村の中の教会堂に入ることができ、改めて城田さんの苦悩や生活苦を背負いながら生きてきた女性たちの思いや悲しみに思いをはせた。二度と悲劇を起こさせてはいけないという思いを新たにした。

 九月一日は、木更津市で活動している「オスプレイくるな いらない住民の会」の平良さんと野中さんの案内で木更津基地へ行った。今回のツアーで一番びっくりしたのは、現在オスプレイの整備が行われ、自衛隊オスプレイが配備されようとしている「陸上自衛隊木更津駐屯地」が実は「米軍木更津飛行場」であり、日米安保条約二四条Aによって自衛隊に貸与されているということだった。

 事前学習会で野中さんは「今、市長は自衛隊オスプレイ配備については『住民の声と議会の判断に従う』と言っている。地方自治を守り、住民の命を守る立場の人が人ごとのようなことを言っている。今こそ労働組合の力が必要な時です。」と私たちにエールを送ってくれた。

 

(東京全労協常任幹事 藤村妙子)

 

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