8月5日
1 審議会の答申
審議会は、令和元年7月3日に、兵庫労働局長から令和元年度兵庫県最低賃金の改正諮問を受け、専門部会を設置して、慎重に調査審議を重ねた結果、8月5日に兵庫労働局長に対して、兵庫県最低賃金の金額を、時間額899円(引上げ額28円)に改正することを答申した。
審議会においては、「令和元年度地域別最低賃金額改定の目安について」(令和元年7月31日中央最低賃金審議会答申、兵庫県はBランクであり引上げ額の目安は27円)を参考にしつつ、地域における労働者の賃金水準等を考慮し、諸般の事情を総合的に勘案して慎重に審議され、答申をまとめられたものである。
2 兵庫地方最低賃金審議会長のコメント
本年度の審議は、中央最低賃金審議会からのBランク27円引き上げの目安を受けて始まりました。結果、全会一致で、目安+1円、28円の引き上げの結論に至りました。審議にあたっては、労使共通の課題として、次のような点が共有され、それらは答申において建議として付記されています。
1つは、中小規模事業者への有効な支援策が不可欠なこと、2つは、厚生年金保険・健康保険制度が就業調整の一因となっているので制度の見直しが必要であること、3つは、最低賃金の地域格差が都市部への人口流出を招き、それが人手不足に拍車をかけていることから、この地域格差の是正に向けて制度の見直しを講じること。
(1) 兵庫労働局長は、答申に対する異議の申出を令和元年8月20日まで受け付ける。
令和元年8月5日
兵庫労働局長
畑 中 啓 良 殿
兵庫地方最低賃金審議会
会長 梅 野 巨 利
当審議会は、令和元年7月3日付け兵労発基 0703 第7号をもって貴職から諮問のあった標記のことについて、慎重に調査審議を重ねた結果、別紙1のとおりの結論に達したので答申する。
また、別紙2のとおり平成 20 年8月6日付け中央最低賃金審議会の「平成 20年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」の考え方に基づき最新のデータにより比較したところ、平成 29 年 10 月1日発効の兵庫県最低賃金(時間額 844 円)は平成 29 年度の兵庫県の生活保護水準を下回っていなかったことを申し添える。なお、今回の報告に当たっては、以下のことを強く要望する。
1 最低賃金引上げの影響を大きく受ける中小企業・小規模事業者の生産性向上等に対する支援策について、受給要件の緩和等、利用しやすくするための抜本的な見直しを講じること
2 現行の厚生年金保険・健康保険制度はパートタイム労働者等が就業調整を行う要因の一つとなっていることから、制度の見直しを行い働きたい人が働きやすい環境整備を実現すること
3 全国における地方最低賃金の格差の是正に向けて、制度の見直しを講じること
▼答申に先立って、8月1日に意見陳述
▼これまでの答申/建議 兵庫地方最低賃金審議会
2013年・2014年
「政府において、中小企業に対する支援等の拡充に取り組むことを要望する。」
2015年
「政府において、中小企業に対する支援策等に向けて、より実効ある取り組みを要望する。」
2016年
「①最低賃金引上げに伴い大きな影響を受けるのは、兵庫県内の中小企業・小規模事業者である。このような中小企業・小規模事業者が使いやすい、実効性のある支援や、取引条件の改善等に引き続き取り組むなど、政府として、早急に責任をもって対策を講じること。また、その支援の結果については、速やかに報告すること。
②中央最低賃金審議会の目安について、中央最低賃金審議会において三者合意に至っておらず、政府主導により示されたものになっている。したがって、目安制度の在り方に関する議論を加速し、地方最低賃金審議会において、地方の実態を踏まえた議論が可能となり、その裁量が発揮できるようにすること、を強く要望する。」
2017年
「①現行の厚生年金保険・健康保険制度はパートタイム労働者等が就業調整を行う要因の一つとなっていることから、企業における労働力確保の観点からも、制度の見直しを行い、働きたい人が働きやすい環境整備を実現すること、
②最低賃金の影響を大きく受ける中小企業・小規模事業者の生産性向上等に対する支援策について、手続きの簡素化等利用しやすくするための改善策を講じること、に取り組むことを政府に強く求める。
また、中央最低賃金審議会の目安について、例年、全会一致に至っていないことは、地方においての審議に大きく影響を及ぼすところであるので、今後、全会一致に至るための積極的な取り組みを行うこと、を強く要望する。」
2018年
平成 30 年8月6日
兵庫労働局長
畑 中 啓 良 殿
兵庫地方最低賃金審議会
会長 原 拓 志
当審議会は、平成 30 年7月4日付け兵労発基 0704 第1号をもって貴職から諮問のあった標記のことについて、慎重に調査審議を重ねた結果、別紙1のとおりの結論に達したので答申する。
また、別紙2のとおり平成 20 年8月6日付け中央最低賃金審議会の「平成 20年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」の考え方に基づき最新のデータにより比較したところ、平成 28 年 10 月1日発効の兵庫県最低賃金(時間額 819 円)は平成 28 年度の兵庫県の生活保護水準を下回っていなかったことを申し添える。
なお、今回の答申に当たっては、
①最低賃金引上げの影響を大きく受ける中小企業・小規模事業者の生産性向上等に対する支援策について、手続きの簡素化等利用しやすくするための改善策を講じること、
②現行の厚生年金保険・健康保険制度はパートタイム労働者等が就業調整を行う要因の一つとなっていることから、制度の見直しを行い働きたい人が働きやすい環境整備を実現すること、
③中央最低賃金審議会について、例年、全会一致に至っていないことは、地方においての審議に大きく影響を及ぼすところであるので、今後、全会一致に至るための積極的な取り組みを行うこと、
④公益見解により示される目安額については、より具体的な根拠を示すこと、
⑤中央最低賃金審議会の目安について、全国における地方最低賃金の格差がランク分けにより年々広がっていく実態にあり、それが地方からの人口流出の一因となっていることから、その格差を是正すること、を強く要望する。