全労協/ 東京高裁のメトロ差別判決弾劾!/ 新聞 2019年3月号

全労協 東京高裁のメトロ差別判決弾劾!/ 新聞 2019年3月号



全国一般東京東部労組
東京高裁のメトロ差別判決弾劾!

東京メトロ売店非正規労働者でつくる全国一般東京東部労組メトロコマース支部が正社員との賃金差別をなくすために闘っている裁判の控訴審で、東京高裁は二月二十日、非正規労働者への差別を認める不当判決を言い渡した。

判決は、一審の東京地裁判決と異なり、退職金の一部、住宅手当、褒賞(ほうしょう)金の支払いを認めた。いずれも労働契約法二〇条が施行された二〇一三年四月以降のものである。なお、一審段階で認められていた残業手当の割増率の差額については会社側の控訴を棄却し、高裁段階でも認められた。

他方、毎月の基本給の差、資格手当の有無、賞与の差は不合理と認めず、退職金は正社員の四分の一という低い額しか認めなかった。また、原告四人のうち瀬沼組合員は労契法二〇条が施行された段階では定年後の継続雇用だったとしてすべてを棄却された。

支部の請求は何ら過大なものではなく、正社員と同じ駅売店で同じ仕事をしてきたのだからすべてが認められて当然のものばかりだ。手当の一部や、ましてや何の根拠もない「正社員の四分の一」といった判決ではまったく納得できない。差別の一部をなくす代わりに残りの差別を温存するような判決を認めるわけにはいかない。

判決の主文を裁判長が言い渡した際、傍聴席からはすぐさま「不当判決だ!」の声が次々と起きた。その後、約一五〇人の仲間とともに東京高裁正門前で不当判決に抗議するアピール行動を行い、「差別判決を許さないぞ!」のシュプレヒコールをあげた。

さらに支部組合員と弁護団による司法記者クラブでの記者会見と弁護士会館での報告集会を開いた。原告となった支部組合員四人は「最高裁に上告する」「差別が撤廃されるまで闘っていく」などと今後も闘う決意を述べた。

同日、東部労組本部と同支部は判決弾劾声明(別掲参照)を発した。非正規差別を撤廃するため、すべての労働者は団結して立ち上がろう!


◆判決弾劾声明


私たちは本判決を「勝利」と喜ぶ気持ちにまったくなれない。基本給や賞与などについての差別を追認し、退職金の支払いについても正社員のわずか四分の一しか認めていないからだ。また、原告となった四人の組合員のうち定年後に継続雇用されていた一人は同じ駅売店で働いていたにもかかわらず、すべてが棄却されていることも到底許しがたい。

裁判官諸君はとんでもない勘違いをしているのではないか。私たちは正社員の賃金を引き下げた形での「同一賃金」などを求めたことは一切ない。フルタイムで働いても月の手取りが十三万円台にしかならない非正規労働者の底上げこそを要求している。

経営者による不当な酷使、屈辱、権利のはく奪に対し、私たちはもっと怒っていいはずです。裁判所の正義を愚弄する態度に対し、もっと怒っていいはずです。その怒りこそが非正規労働者の絶対の解放につながることを私たちは確信しています。どれだけ長く険しい道のりであったとしても差別撤廃の最後の勝利まで闘い続ける決意です。非正規労働者よ、団結して立ち上がろう!(抜粋)