20条裁判 最高裁弁論 メトロコマース支部 / 全労協新聞 2020年10月号

20条裁判 最高裁弁論 メトロコマース支部 / 全労協新聞 2020年10月号

 


労働契約法20条裁判 最高裁弁論


 

全国一般東京東部労組メトロコマース支部


非正規差別なくす
最高裁判決を


 東京メトロ売店非正規労働者でつくる全国一般東京部労組メトロコマース支部が正社員との賃金差別をなくすために闘ってきた裁判の上告審で、最高裁第三小法廷(林景一裁判長)は九月十五日に退職金に関する口頭弁論を開き、判決の言い渡し日を十月十三日に決定した。

 最高裁は七月二十八日付で、毎月の基本給と年二回の賞与についての組合側上告を不受理とし東京高裁判決に引き続き差別を容認する不当決定を行った(他方で住宅手当・褒賞金・旱出残業手当の割増率差額については会社側上告を不受理としたため支払いが確定した)。

 このため今回の弁論と十月の判決は、東京高裁が正社員の四分の一の支払いしか認めなかった原告二人の退職金の扱いのみに絞られている。これについて組合側は九月四日に厚労省で記者会見を行い、非正規労働者への差別を容認した最高裁の不当決定に対する抗議するとともに、非正規差別の全面撤廃という目標に向けて一歩でも前進させる闘いと位置付けて最後まで裁判闘争を闘う決意を表す声明を発表した。

 最高裁の弁論には、支援者ら約八十人が傍聴抽選に並び、コロナ感染対策で制限された傍聴席二四席を埋めた。

 組合側からは弁護団の今野久子弁護士と青龍美和子弁護土の二人が意見陳述した。今野弁護士は非正規労働者が正社員と同じ仕事を長期にわたって従事していることをあげたうえで、「退職金ゼロはもちろんのこと、原判決が認めた四分の一の退職金でも正社員との相違は著しい」と指摘した。

 青龍弁護士は「四分の一ではなく、満額の退職金が支給されてこそ、労働契約法二〇条の趣旨にかなう」と主張した。会社側は意見陳述をしなかった。

 弁論後には、メトロコマース支部弁護団が、当日同じく労働契約法二〇条裁判で最高裁の弁論が開かれた大阪医科薬科大学事件の原告(全労連全国一般大阪府本部加盟)と弁護団との共催で報告集会を参院議員会館で開催した。

 弁護団から弁論の要旨が報告されるとともにメトロコマース支部の原告四人と東部労組本部の須田書記長がそれぞれ非正規労働者への差別撤廃に向けた決意をアピールした。

 大阪医科薬科大学事件の原告・弁護団・所属労組からもそれぞれ発言があり、郵政ユニオンで労契法二〇条栽判を闘う原告とジャーナリストの竹信三恵子さんの連帯あいさつもあった。