全労協/ 東京清掃労組 一時間の実力行使配置で大幅賃下げ勧告を見送りに / 新聞 2019年1月号

全労協東京清掃労組 一時間の実力行使配置で大幅賃下げ勧告を見送りに / 新聞 2019年1月号


東京清掃労組
一時間の実力行使配置で大幅賃下げ勧告を見送りに


2018賃金確定闘争は、史上最大にして最悪の特別区人勧を受けて、わが組合もかつて経験したことのない、歴史に残る厳しい闘いとなりました。しかし、全組合員の総団結のもと、総力をあげて闘い抜くことで、最終局面において区長会から「人勧は実施しない」ことを確認し、第八回中央委員会で2018賃金確定闘争の妥結を判断してきました。


十月十日に出された特別区人事委員会勧告の内容は、春闘における民間の賃上げや国、多くの政令市・県の引上げ勧告に対して、一時金については〇・一月の引上げとなっているものの、月例給については平均二・四六%額にして平均九、六七一円、年間給与額にして平均約十二万三千円に及ぶ過去最大の引下げであり、特別区で働く全ての職員とその家族の生活を脅かす理不尽極まりないものでした。

こうした公民較差となった原因は、行政系人事・給与制度を見直した影響を踏まえた公民比較を行うべきだったにもかかわらず、人事委員会がこれを怠ったことにあります。まさに、本年の勧告は、人事委員会自らが作り出した不当な引下げ勧告であり、「職務・職責の一層の反映」と称した行政系人事・給与制度の見直しを全面的に否定するものでした。また、「生計費の原則」「均衡の原則」、「職務給の原則」という公務員の給与決定の原則にもことごとく逸脱する内容であることからも、わが組合はこうした勧告を実施しないよう強く求めてきました。

十月二十二日の第三回団体交渉で要求書を提出して以降、本部では専門委員会交渉等での具体的な協議を重ねる一方で、支部や地連では秋期闘争方針に基づいた「各区・各地連ごとの要請行動や総決起集会」、「ステッカー闘争」や「家族署名行動」などを取組んできました。こうした大衆行動等を展開し、清掃職員の賃金・労働条件の改善はもとより、特別区人勧の取扱いについても、われわれの要求に踏み込むよう決断を迫ってきました。

わが組合は、18賃金確定の終盤を迎えた十一月十二日には第二回拡大闘争委員会を開催し、①「特別区人事委員会勧告の未実施」を今賃金確定の最大の争点と確認するとともに、②業務職給料表における給与水準の認識の是正、③五五歳超の昇給抑制撤回、④扶養手当における認定要件の見直し撤回、⑤現業系人事制度の改善などを重点課題として確認。区長会が最終交渉日として迫る十一月二十一日の翌日である、二十二日の始業時から一時間の実力行使を配置するとともに交渉強化を確認しました。

そして、区長会が最終交渉日とする二十一日の十五時二五分から開催した小委員会交渉で一部の歩み寄りは見せたものの、最重点課題と位置付けた人勧の取扱いなど、具体的な考え方は示されず、労使の主張は平行線を辿りました。膠着状態が続くなか局面打開にむけて、夜に区長会側交渉委員副区長会正副会長とわが組合の委員長・書記長によるトップ会談が持たれ、最大の争点としていた人勧の取扱いなど、踏み込んだ考え方が示されました。このことを受け、直ちにわが組合と特区連の四者会談を実施し、両組織とも区長会の最終提案の受け入れを判断。二二時十六分から開催された第五回団体交渉にて最終提案を受けたのち、中央委員会を再開し全会一致で2018賃金確定闘争の妥結を判断しました。

2018賃金確定闘争は、今年の春闘における民間賃金改善状況や国・政令市、県人勧とも過半がプラス勧告と続く情勢下において、公務員の給与決定の原則をもことごとく逸脱する理不尽極まりない特別区人勧の大幅マイナス勧告を実施させないという、わが組合がかつて経験したことのない前代未聞ともいえる闘争でありました。そうしたなか、全ての要求に対してわれわれが満足できる回答が得られなかったことは不満が残るものの、最重点課題とした大幅マイナス勧告を実施させないについて、最終局面にて不当な勧告を実施しないことに判断せざるを得ないよう区長会を追い込み、重い決断をさせたことは、本部と支部交渉、地連要請などの大衆行動を有機的に結合させ、全組合員の総力をあげて闘い抜いたことによる成果であります。

依然として厳しい情勢です。誰も何も言わなかったら勧告は実施されていたかも知れません。労働組合の要求で、史上最大にして最悪である特別区人勧の実施を防げたことに自信と確信を持ち、今後も我々の諸要求実現のため、本部・地連・支部の連携をさらに強化するとともに、東京清掃全組合員が一丸となって闘っていきましょう。 

(東京清掃労組 渡辺歩)