全労協/ 日立が実習生に基本賃金100%支払い / 新聞 2018年12月号

全労協日立が実習生に基本賃金100%支払い / 新聞 2018年12月号



全労協新聞
より


スクラムユニオン・ひろしま 
日立が実習生に基本賃金100%支払い


十月三十一日、山口県下松市で行われた第五回の団交において、日立製作所笠戸事業所との間で、基本的な合意が成立した。合意内容の主なものは、今回解雇されたフィリピン実習生たち四十人の逸失利益に当たる二二カ月分の基本賃金一〇〇%を支払うというものである。

日立製作所笠戸事業所では約四〇〇人のフィリピン技能実習生たちが働いていた。そのうちの一号口のビザで実習していた九九人が解雇の対象となった。九月二十日に第一陣の二十人が、十月十日に第二陣の二十人が解雇となり、十一月七日・八日には残り五九人が解雇される予定となっている。

大量解雇・帰国という事態を前に、早急に日立製作所と団交を設定するとともに、損害賠償請求訴訟を視野に準備を進めることとなった。

団交を行うと、解雇問題についてはそれほど争点とならないことが分かった。実習機構が実習計画を認めて許可すれば、すぐにでも実習再開すると日立側が明言したからである。

さらに団交では、損害賠償請求訴訟を準備していることも伝え、日立側に明確な補償案の提示を求めた。そこで出てきたものが「実習中止となれば、実習ができなかった期間の基本賃金分は補償する」というものであった。だが、実習機構からの判断が出るまでの間、すなわち、待機期間については生活費充当分しかださないという回答であった。これでは実習生たちは、いつまで続くか分からない待機期間をフィリピンの生活費のみで過ごさざるを得ない。

ユニオンとしては、残りの実習期間二二カ月分の補償を、年内までに、あるいは実習中止の判断が実習機構から出たときのいずれか早い段階で行なうよう要求した。結論として、日立製作所が、この要求を呑むことで決着した。待機期間を最短とし、実習生達の基本的な経済的権利を守ることができた。