8時間働けば生活できる賃金を! / 全労協新聞 2018年2月号

8時間働けば生活できる賃金を! / 全労協新聞 2018年2月号


8時間働けば生活できる賃金を!
安倍政権と闘い総労働と総資本の闘いとして春闘再生を

「北の脅威」を吹聴し、これを「国難」とし、「毅然とした外交を展開し、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜く」として行われた昨年の解散総選挙安倍自民党が圧勝した。そして安倍政権は2018年の年頭所感で、「アベノミクス」の成果を列挙しながら「改革実行の1年だ」と発表した。

これを背景に第196通常国会が1月22日に召集された。衆議院本会議で行われた施政方針演説では、既に予想されていたとおり、「明治150年」を称賛しつつ、「国のかたち、理想の姿を語るのは憲法だ」と述べ、憲法改正論議の促進、「北朝鮮の核・ミサイル開発に対し」防衛力強化、そして「働き方改革」が重要課題として表明された。

この安倍政権の5年間、「アベノミクス」の恩恵が労働者・市民にもたらされるかのような幻想を振りまきながら格差と貧困を拡大させてきた。低賃金・不安定雇用の非正規労働者の拡大は全労働者の37%を越える。「世界で一番企業が活躍できる国をめざす」は、8時間労働制を破壊し、過労死を促進させてきた。これらが企業の内部留保406兆円にもなっているのだ。そして憲法改悪によって日本を戦争のできる国に作り変えようとしている。

今のところ会期は6月20日までの150日間とされている。「今のところ」というのは、安倍政権が今国会の重要課題に掲げる「自衛隊明記など『改憲4項目』」や「働き方改革」関連法案に加えて、森友、加計学園問題、スーパーコンピューター開発の助成金詐欺事件などがあるからだが。

経団連は、1月16日、18春闘の経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」を発表した。ちなみに経労委報告が示す経営側の春闘指針を列挙すると、
①社会的期待(政府の期待と読み替えることもできるが)も意識しながら「3%の賃金引き上げ」を検討する。
働き方改革・生産性向上・処遇改善に一体的に取り組む。
働き方改革に伴う時間外手当の減少分を、選択肢として賞与増額や手当の創設・増額などあてる。
④所定労働時間の短縮など多様な方策を検討すること。
⑤子育て世代への手当の重点配分を検討。
同一労働同一賃金への対応として、パートや有期契約社員の処遇改善を推進
などであるが、特に注目すべきは、この中で3%の賃上げについて、初めて経団連が数値目標を示したことだ。いうまでもなく安倍政権が経済界に求める「3%以上の賃上げ」は、消費を喚起してデフレを脱却させるためである。

連合は、18春闘でのベースアップの要求水準を、月例給の「2%程度を基準」とし、定期昇給相当分と合わせ4%程度の賃上げを求める方針を決めている。

安倍政権は、賃上げする企業への減税などを検討に、春闘で3%の賃上げを経済界に要請した。経団連も経労委報告で述べているように安倍首相の意向を反映するかたちで、ベアと定期昇給を合わせた月例賃金を3%引き上げるよう各企業に求める方針だ。

「労使フォーラム」が1月22日に開催され、18春闘が事実上スタートしたと伝えられている。だが、大企業の一部労働者への賃上げを要請して、経済成長の効果がすべての労働者に及ぶような幻想を振りまいているが、これまでも景気が拡大し企業の収益が上がっても賃上げに結び付かず、株主配当や役員報酬に回り還元されることはなかった。

春闘は、労働者総体の賃金・労働条件の底上げをはかる闘いだ。こうした大企業の利潤追求の「官製春闘」に惑わされることなく、文字通り、総労働と総資本の闘いとして再生しなければならない。

そして18春闘では、賃上げはもとより、格差と貧困、不安定雇用と低賃金におかれている非正規労働者の待遇改善などの課題にどう対決していくのかが問われる。

全労協は、18春闘を「8時間働けば生活できる賃金を!」をスローガンに、「18春闘全国実行委員会」を結成して闘う方針を決めている。