全労協は訴える / 全労協新聞 2017年1月号

全労協は訴える / 全労協新聞 2017年1月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より



全労協は訴える

雇用と暮らしを破壊する安倍政権に対して
安心して働き生活できる社会の実現をめざして共に闘い抜こう





 現実政治に対する民衆の不満が爆発し、いま世界は激動の時代を迎えている。韓国では多くの労働者、民衆が立ち上かり政治を変えようとしている。その一方で深刻な問題なのは、変化を求める民衆の思いが、極端な排外主義と差別的キャンペーンかポピュリストたちによって進められていることである。ヨーロッパでは移民排斥や反ユーロを掲げる右派政党が大きな政治勢力として台頭しているが、これは英国のEU離脱決定やアメリカの次期大統領トランプ氏当選の流れと通じるものだ。そしてこれを支えているのが、格差と貧困に絶望する労働者、民衆であることである。

 「アベノミクス加速国会」と位置づけた臨時国会では、巨大与党の数にものをいわせた国会運営がくり返された。安倍政権が描く経済の好循環について否定的な声が多いなか、次期米大統領が離脱を明言してもなお、環太平洋経済連携協定(TPP)の発効をめざして採決を強行した。また、将来への不安の声か多いなか「年金カット法」ともよばれる年金制度改革法を強行成立させた。これはは老後の実態を全く無視したものだ。さらに世論を二分する「カジノ解禁法」の成立は、安倍政権の描く経済の好循環というならとてもまともとは思われない。


なぜ今
働き方改革


 企業業績の改善が賃上げ、設備投資につながり、消費が拡大するといっていたアベノミクス。しかし「官製春闘」によっても、大企業労組と中小企業の賃金格差は縮まらず、ましてや非正規労働者にその恩恵がいきわたっていない。将来への不安から消費が低迷する、まさに「経済の悪循環」に陥っている。

 一方、長時間労働による過労死や過労自殺、格差と貧困、介護離職など、働き方をめぐる様々な問題が深刻になっている。そうした中で安倍政暖は働き方改革を「最大のチャレンジ」と位置づけ、「働き方改革実現会議」を発足させ、首相自ら議長に就いた。この会議で安倍首相は、「長時間労働の是正、同一労働同一賃金を実現し、非正規という言葉をこの国から一掃する」と表明し、「働く人の立場に立った改革」であると説明した。しかしその委員会のメンバーをみて明らかなように、われわれの「働き方」を勝手に改革しようとするものに他ならない。要するにこれは、国の経済成長のために、あたかも労働者か多様な働き方を選べるかのような労働環境を整備して、労働生産性を向上させて企業が稼ぐ力を高めるための「働き方改革実現会議」だ。まやかしである。そして「実現会議」で安倍首相は、「少なくとも今年並みの賃上げと四年連続のベア」を経済界に要請をした。こうして政権が、本来労使交渉の内容である賃金について介入し、企業の稼ぐ力を高める生産性向上に駆り立てる。アベノミクスの行き詰まりが指摘されるなか、なぜ今「働き方改革」なのかの中身が見えてくる。


大衆運動の
大きな高揚ヘ


 衆議院解散・総選挙が取りざたされている。十二月のNHK政治意識調査よると安倍内閣の支持率が、支持するが五〇%、支持しないが三二%と支持するが大きく上回っている。格差と貧困が指摘されるなか、労働者の不満や怒りのエネルギーが政治へ向かわず、安倍内閣の支持率が高止まりとなっている。これはヨーロッパにおける右派政党の台頭やトランプ氏当選と通底するものかあると思う。これをなんとかしなければならない。労働者・労働組合こそが安倍政権打倒に向けた大衆運動の大きな高揚をつくりだしていかなければならない。

 雇用を破壊し、暮らしを壊し続ける安倍政権に対して、安心して働き生活のできる社会の実現をめざして共に闘い抜こう。