衆議院選挙後の全労協闘争宣言 / 全労協新聞 2017年11月号

衆議院選挙後の全労協闘争宣言 / 全労協新聞 2017年11月号



衆議院選挙後の全労協闘争宣言

安倍政権の改憲攻勢に
全ての政党、労働組合、市民の力を
結集させて闘わなければならない

われわれの今回の総選挙に臨むに当たっての最重要課題は、改憲発議に必要な3分の2の議席自民党とその補充勢力に与えないことであった。

しかし、10月22日に投開票された第48回衆議院選挙で自民・公明の与党が過半数を大きく超えた。この結果、今回の選挙で初めて公約に改憲の具体的な項目を明記した自民党は、憲法改正への動きを加速させてくるのは間違いない。

安倍政権は、「北」朝鮮問題を「国難」と呼び、危機を煽って、これを突破するために衆議院を解散すると述べた。

しかし、そもそも「国難突破解散」と命名された今回のこの解散・総選挙は、国民に何を問うものだったのか。安倍首相が主張する解散理由にあげた「消費税の使い道」や「北朝鮮への対応」「2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成を果たせない」ことが問題なのであれば、国会で議論すべきことだ。

マスコミは、「『森友』『加計』両学園をめぐる問題の追及逃れ」など、「大義名分」のない解散・総選挙と報じた。

今回、政権与党を大勝に導いたものは何か。いうまでもなく小選挙区制という選挙制度もあるが、昨年の参議院選で実現された野党協力の芽を、事実上の解党で民進党がつぶした。改憲阻止の共闘を進めてきた野党や市民連合への裏切りというほかない。

そのことによって野党共闘も白紙に戻され、野党が分断され、その分裂が自民党を利することになった。

聞くところによると、昨年の東京都知事選以降、少なくても昨年暮れ頃には、次期総選挙に向けた「希望の党」構想が練られていたとも言われている。

9月に民進党代表選挙が行われた。間もなくして、前原誠司代表は民進党希望の党への合流を表明した。そして希望の党によって民進党が分断・崩壊させられ、野党統一を破壊する役割を果たした。ついでながら前原代表は無所属で立候補し、民進党は3分裂した。

社会保障」、「働き方改革」等々や、「安全保障関連法」や「共謀罪」反対など、安倍政権の現実政治に対する不満や怒りが大衆運動を高揚させている。

実際、この大衆運動の高揚や世論の高まりが野党共闘の原点だ。希望の党は、この安倍政権の既成政治に対する不満や怒りを、保・革の別なく取り込もうとした。

これは、アメリカのトランプ大統領の誕生や、ヨーロッパ諸国にみられる右翼ポピュリストの台頭と通底するものがあると思う。

今回の衆議院選挙は、「国難」を招いた安倍政治そのものが問われるとともに、国の行方を決める選挙だった。

アベノミクス」の失敗、「生産性革命」と「人づくり革命」の二つの大改革断行、社会保障、財政の健全化、原発を基幹電源と位置付けて再稼働、たまり続ける「核のごみ」の処理、そして憲法等々である。


護憲戦線の再構築を

今回の衆議院選挙で自民党は「自衛隊の明記」をはじめ、具体的な改憲項目を公約に盛り込んだ。小選挙区制度の下では、民意と選挙結果が一致しているわけではないが、今後、朝鮮半島の緊張を吹聴し、さらに改憲への動きを加速させるだろう。そして自公に、維新、希望の党を加えると改憲勢力が今以上に増大する。

格差と貧困に苦しむ労働者・市民の怒りを右翼ポピュリズムから取り戻すためには新たな政治勢力の結集が不可欠である。2年後には、参議院選挙がある。これに向けた立憲野党の護憲戦線の再構築が求められている。

安倍政権の憲法を無視して、平和を脅かす改憲勢力に、すべての政党、労働組合、市民の力を結集させて闘わなければならない。そのための一層の努力が求められている。