許すな 安倍「働き方改革」 / 全労協新聞 2018年1月号

許すな 安倍「働き方改革 / 全労協新聞 2018年1月号


2018年 年頭あいさつ
改憲阻止へ 3000万署名を
許すな 安倍「働き方改革



「日本を守り抜く」といって行われた先の衆議院選挙で、与党(自公)は313議席を獲得し、他の改憲政党を加えると約8割が改憲勢力となったことは周知のとおりである。自民党の絶対得票数は小選挙区で25%、比例区で17%。選挙区選挙で自民党に投票した有権者は4人に1人、比例区でも6人に1人でしかない。数字が示すように、国民は安倍政権を積極的に望んでいるとは思わないが、しかし選挙結果としては信任を得た格好になった。

なぜこういうことになったのか。小選挙区制という選挙制度の弊害もあるが、今回の選挙では、当初安倍政権に対抗するための勢力として、「市民と野党の共闘」があった。

われわれもこの共闘の流れを広く、そして深化させるために微力ながら「市民と野党の統一候補実現」に努力してきた。しかし、ひとつの改憲勢力希望の党」が台頭して民進党は「希望の党」に合流することを決め、事実上分裂・解体させられた。

「どんな手を使ってでも安倍政権を倒す」と言っていたが、この結果、野党が乱立することになり、自民党が利することとになった。

本来、自民党と考え方や政策が同じでは、「反自民」の主張はありえない。そもそも公明、維新、希望は補完勢力というよりも自民党と一体なのだ。

この選挙で明らかになったことは、「立憲民主党」が設立され、自民・公明・維新・希望と立憲民主・共産・社民という明確な構図が作られた。

政治的混乱の中で野党共闘一本化が間に合わなかった選挙区も多かったが、これには共産党社民党議席を減らしたが犠牲的な協力があったと評価したい。この共闘の流れをさらに大きくしていくことがわれわれに求められている。

「戦争する国」づくりは、国民生活を犠牲にして進められることを歴史が示している。そうした意味で、2018年は、日本の平和と民主主義、基本的人権を守るためにも改憲阻止の歴史的な闘いとなる。国会内外における労働者・市民・立憲野党との共闘を拡大し、とりわけ全国統一3000万署名を全力で取り組み、護憲闘争に全力をあげよう。

突然の衆議院解散がなければ、臨時国会で過労死や過労自殺の根絶に向けた長時間労働の是正など「働き方改革」が大きなテーマとなるはずだった。

多くの企業は長時間労働を前提とした働き方で支えられている。広告大手・電通の裁判の判決は、「尊い命が奪われる結果まで生じていることは看過できない」と述べたが、問われているのは電通だけではない。

2016年度の「過労死白書」によれば、191人が過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定されている。また、あらかじめ定められた時間だけ働いたと見なす制度の適用者など、労働時間の規制の範囲を超えて長く働く例もある。

政府は、残業規制の上限時間を「忙しい月で100時間未満」「2~6カ月平均で80時間」「年720時間」に設定した労働基準法を改正し、早ければ2年後の規制導入を目指している。

政府が示す残業時間の上限は、過労死ラインぎりぎりまで働かせることにお墨付きを与えるものだ。

また、安倍政権は、「働く人の立場に立った改革」だと強調する。一部の労働者を労働時間規制から外し、残業や深夜・休日労働をしても割増賃金を支払わない「高度プロフェッショナル制度高プロ)」の導入も進めようとしている。われわれが「残業代ゼロ法案」と批判し、2年間国会でたなざらしとなっていた法案だ。

「働く立場に立った改革」というが、残業代をなくせば長時間労働が助長されるだけだ。まず残業時間を規制すべきだ

安倍政権が、一億総活躍、働き方改革に続き、「人づくり革命」と「生産性革命」を掲げている。これはいうまでもなく、これは「働き方改革」の延長線上にある。

通常国会では、これら労働基準法改悪一括法案の提出が予想される。18春闘では、労働者の生活改善の闘いとともに、こうした課題にどう対決していくのかが問われる。