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17けんり春闘方針 (PDF) (Word) |
17 けんり春闘方針(案)
貧困・格差・差別を許さない! 働きがいのある人間らしい仕事を!
=官民連帯・総がかりで17 春闘勝利しよう!=
1)17 春闘を取り巻く情勢
① アメリカ大統領選挙はトランプ氏がヒラリー・クリントン氏を破り、勝利した。トランプ氏は選挙中、移民労働者の排除やイスラム教徒に対する激しい排外的言辞、あるいは女性蔑視の言動を繰り返し、多くの批判が集まっていた。政治経験も無く、どのような政策をとるのか不透明な大統領が誕生した。イギリス国民がEU 離脱国民投票に示した結果と同様に、アメリカでも鬱積した国民の政治不信や憤りのはけ口になったといわれる。特に経済の低迷で職を奪われ、下層に追いやられる白人層の排外的気分がトランプ氏を押し上げたとも言われる。新自由主義経済による貧富・格差拡大による疲弊と絶望感が世界中でたまり続けていることが明らかになった。来年1 月就任するトランプ米大統領に世界を翻弄されることになる。大規模な公共事業を行うという経済政策にドル高株高が金融市場を活性化させて見えるが極めて不安定で不透明なものでしかない。
② 日本経済は日銀による大規模金融緩和の影響も薄れ、アベノミクスの失敗は誰の目にも明らかとなり、新たな公共事業によるバラマキ政策に頼るばかりとなってきている。ところがいま、トランプ現象と言われるドル高・円安によって18000 円を超える株高となっているものの、一時のバブル現象であることは明らかである。アベノミクス新・三本の矢と称する成長戦略の行方を推し量る大きな指標である国内消費は低迷を続けている。大企業正社員のボーナスは微増したというものの、労働者全体の可処分所得は減少し格差の拡大は益々深刻なものとなっている。
③ 生活保護世帯は高止まりし、高齢者は年金で生活することもできず、若者は仕事に就いているもののそれだけでは生活できず、ダブル(トリプル)ワークによってようやく生活を支えている状況が続いている。一方、正社員は電通女性社員の過労自死に見られる長時間労働と、イジメ、うつ病にさいなまれる状況が拡がり続けている。ブラック企業とされる職場実態は学生アルバイトから大企業まで後半で日常のものとなっている。
④ 昨年16 春闘は企業業績は大幅な増収増益であったにもかかわらず、官製春闘によってようやく2.0%(連合集計)に止まり、なお、中小零細企業労働者、非正規労働者にはいわゆる恩恵は届かず、「アベノミクス」の幻想に惑わされてきた多くの労働者には失望ばかりが広がった。
そうした中で最低賃金に前後する低賃金で働く労働者の声は「最賃引き上げ」闘争を後半に起こし、安倍政権の目論見も相まって25 円(全国平均)という引き上げを実現させてきた。この最賃引き上げによって影響を受ける労働者は10%を超え、日本労働者の低賃金構造の深刻さが新ためて浮き彫りとなっている。
⑤ 安倍政権は「働き方改革」として長時間労働の規制や同一労働同一賃金の実現などを掲げて参議院選に望み、労働者の分断と取り込みを図ってきた。
その一方、経済界の意を受けた『世界で一番企業が活躍できる国』への法改正を進めてきた。
実質的に長時間労働・過労死を助長する労働基準法の改悪案を提出し、また、「解雇の金銭解決方式」導入の検討が進められている。そして、法改正を迅速にするためとして労働政策審議会の改革に着手し、ILO 基準である公労使三者構成による合意形成を破壊する為の有識者会議を設置し、早急な法整備に着手することを表明している。
⑥ 安倍政権は昨年9 月強行採決した戦争法の実体化を急ぎ、南スーダンPKO に派遣する自衛隊に「駆けつけ警護」の任務を命令し、集団的自衛権の発動を行った。集団的自衛権は憲法に違反するとする憲法学者の意見や国民の声を無視して、ついにアメリカ軍と共に戦争できる国に転換させた。今後はあ明文改憲による9 条の破壊に進むことは明らかである。こうした政治的攻勢は特定秘密保護法の強行成立の後を受け、三度も廃案となってきた共謀罪を新たな装いを持たせて法制化しようとしている。そして沖縄辺野古新基地建設へ向けてむき出しの暴力をもって反対するものに襲いかかっている。高江ヘリパッド建設に全国の機動隊が集められ、「土人」「シナ」なる差別発言させ飛び出している。
⑦ 一方、未だ福島第一原発事故の被害者救済が十分に行われていないにもかかわらず、そして原因の究明も行われないまま、原発の再稼働・海外輸出を進めようとしている。また、日本社会を破壊するTPP 合意の批准を国会で強行成立させようとしている。アメリカ次期大統領のトランプ氏は明確にTPP に反対することを示しているにもかかわらず、安倍政権の国会議席を圧倒的に確保している数におごった国会運営は茶番とも云えるものがある。
⑧昨年国会を包囲した戦争法反対の大きなうねりは今なお続き、「19 日の日行動」は国会周辺に多くの労働者市民が集まって抗議の声をあげている。
7 月の参議院選挙では自公与党に改憲を発議できる三分の二議席を与えることとなった。しかし、安倍政権打倒のため「野党は共闘」という労働者市民の闘いは全ての小選挙区で野党統一候補を擁立し、東北地方を中心に11 選挙区で自民党候補を破り勝利した。沖縄では現職大臣に勝利する成果を上げた。総がかり運動の大きな成果である。
いま、戦争法廃止、改憲阻止の総がかり運動一回り大きく『貧困格差』を許さない運動と連携を作り、包摂した運動へと発展させられようとしている。