全労協/ 総力で安倍政権の戦争法制阻止へ / 全労協新聞 2015年6月号

全労協/ 総力で安倍政権の戦争法制阻止へ / 全労協新聞 2015年6月号


全労協
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全労協新聞
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総力で安倍政権の戦争法制阻止へ

労働者派遣法、労働基準法改悪、解雇金銭解決制度を許すな
闘いの中心に組織労働者、労働組合が立ち上がろう


今まさに憲法を意識せざるを得ない状態、あるいはもっと深刻な情況にある。今通常国会では、一九四七年に施行された日本国憲法が、平和な国を選択するのか、貧困と戦争の国を選択するのかという大きな歴史的岐路に立たされている。

こうしたさし迫る改憲の危機の中で、五月三日、三万人を超す労働者・市民が、「戦争させない・九条壊すな!総がかり行動実行委員会(戦争させない一〇〇〇人委員会、解釈で憲法九条を壊すな!実行委員会、戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター)」は「安倍政権が企てる戦争法制阻止のために、すべての人々は手をつなぎ、総力でたたかいましょう」をスローガンに「憲法を守る総がかり行動」という一点で結束した。

五月十四日安倍内閣は、集団的自衛権を行使できるようにするための自衛隊法改正案など、十の改正法案を束ねた「平和安全法制整備法案」と、自衛隊の海外派遣を随時可能とする「国際平和支援法案」を閣議決定し今国会に上程した。「平和云々、安全云々」と呼ぶが「戦争法案」そのものだ。このようなものを成立させたら、今後われわれが「平和支援」とか「平和活動」と呼ぶものは、それは「戦争する」と同意語になる。こんな欺瞞はない。その本質は、自らが攻撃されていなくても自衛隊を地球上のどこにでも派遣して武力の行使を認めることであり、憲法破壊という以外にない。

九条の解釈を変え、集団的自衛権の行使を認める安保法制見直しを、「この夏までに成就させる」と、今国会での関連法案成立を表明し、そして来年夏の参院選後を目途に、二〇一七年の国会発議と国民投票に照準を合わせている。

今国会の焦点は集団的自衛権の行使容認などを盛り込んだ新たな安全保障関連法案のほか、労働者派遣法改正案や労働基準法改正案などだ。

「戦争法案」が閣議決定された十四日、日比谷野外音楽堂で、「労働者派遣法成立阻止、残業代ゼロ法反対」の集会が、日本労働弁護団などが主催して開催され、連合、全労連全労協の三団体が参加し国会議事堂までデモ行進した。

安倍政権の雇用政策は「日本が世界で一番、企業が活動しやすい国をめざす」、これは同時に「日本企業が世界で一番活動できることをめざす」ということでもある。これは戦争政策にも通じることだと思う。

昨年二度にわたって廃案になった労働者派遣法、労働時間制度(労働時間規制の適用除外制度)、新しい労働時間制度は「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれ「残業代ゼロ法案」とも呼ばれ、高度専門職が対象とされていて本人が同意すれば、残業代や休日、深夜の割増賃金などが払われない。この労働基準法などの改正案とともに裁量労働制の範囲拡大も含まれ、いったんこの制度が導入されればなし崩しに対象範囲が広がることは十分予測される。現に経団連の榊原会長は会見で「最終的に、制度を本当に実効性のあるものにするには、年収要件の緩和や対象職種を広げる方向で考えるべきだ」と述べている。

そして次に来るのが解雇の金銭解決制度。これが導入されれば使用者は簡単に労働組合を潰すことができる。何故なら気に入らない労働者はどのような理由でもかまわず解雇して金銭で退職させられるからだ。このような三つの制度が導入されれば労働者は文字通り企業の「奴隷そのもの」だ。

政府与党は会期を大幅に延長して、これらの法案を今国会中の成立を目指す構えだ。

人らしく安心して働き生活のできる社会の実現をめざして、この闘いの中心に、組織労働者、労働組合こそが立たなければならない。