全労協/ 全国から安倍政権を包囲し退陣へ / 全労協新聞 2015年8月号

全労協/ 全国から安倍政権を包囲し退陣へ / 全労協新聞 2015年8月号


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全国から安倍政権を包囲し退陣へ

民主主義・平和主義を根底から覆す違憲の戦争法案
安倍政権の雇用破壊・労働者の権利破壊を跳ね返そう



政府・与党は、集団的自衛権行使に道を開く安全保障関連法案を、七月十五日午後、衆議院平和安全法制特別委員会で、与党単独で強行採決し、十六日衆議院本会議で成立させ、参議院に送付した。

マスコミの報道などによれば、これに先立つ特別委員会の締めくくりの質疑で安倍首相は、「まだ国民の理解が進んでいないのも事実だ」との認識を示したといわれる。しかしながら安倍首相は一方で、「一九六〇年の日米安保改定も国民の理解はなかなか進まなかった。PKO協力法(九二年)もそうだが、その後の実績で国民から理解や支持を得た」と述べ、今国会で成立させる考えを示した。

安倍首相が米議会で「『戦後初めての大改革です。この夏までに、成就させます』『希望の同盟』」(四月二十九日)と約束した法案は、五月二十六日に審議入りし約一カ月半にわたる審議で、一言でいえば、そもそもなぜ今集団的自衛権行使なのか、どんな状況になれば他国を武力で守る集団的自衛権を行使するのか不明のままだ。政府答弁も曖昧で、したがって審議をすればするほど法案の矛盾が露わになり疑念が深まり反対世論が高まってきた。

各社世論調査は数字に微妙な違いがあるものの安倍内閣の支持率は支持と不支持が逆転した。安全保障関連法案への賛否は、「『賛成』二六%に対し、『反対』五六%と、反対の声が過半数。法案が憲法に違反していると思うかは、『違反している』は四八%、『違反していない』は二四%。今国会で法案を成立させる必要があるかは、『必要はない』六六%、『必要がある』一九%。一方、安保関連法が成立したら、日本の平和と安全を守ることに『役立つ』三一%、『役立たない』四二%」(朝日新聞社全国世論調査結果・七月十四日朝刊)それを押し切って採決した。それに対してマスコミは「有識者らが『憲法違反』と認める法案」「立憲主義への反逆」「国民との合意形成を尽くそうとせず、時間の長さだけで測る国会審議を『熟議』とは呼べない」等々と報じた。しかしわれわれは「熟議」を尽くしたとしても、日本が第二次大戦後築き上げてきた民主主義や平和主義を根底から覆すこの法案には、違憲であっても合憲であっても反対なのだ。この法案、「戦争法案」の本質は、「自衛隊」が、米軍の軍事戦略の下、中東から東アジアまで、米軍とともに闘う体制を確立することであり、憲法九条を破壊し、戦争する国へ踏み出すことである。これはいくら審議時間を重ねても深まる論議ではない。

今年は不戦や恒久平和への誓いから七十年、その誓いがいま最大の危機に直面している。七十年目にしてこの歩みを止めるわけにはいかない。今を生きるわれわれの責任として、安保法案反対の声を上げ続け、できることは全てやろう。全国から安倍政権を包囲し退陣に追い込もう。

労働者派遣法改悪法案は六月十九日、安倍首相が出席した衆議院厚生労働委員会で採決を強行した。同日午後からの本会議に緊急上程し、自民、公明の賛成多数で通過させた。

派遣法改定案は、いわゆる「10・1ペーパー問題」や、「漏れた年金」問題などで審議時間が費やされたために十分審議されていない。派遣先企業は、派遣労働使い放題(常用代替防止に逆行、正規雇用への転換機会の剥奪)、派遣労働者にとって、均等待遇の実現は望めず、二六業務に従事する者の三年での雇用打ち切り、その際の雇用安定措置の実効性などない。今後の取り組みは参議院でこの法案の問題点を徹底審議させ、廃案に追い込む闘いを展開しなければならない。そしてこれから「労働時間法制」改悪の審議が始まろうとしている。安倍政権の雇用破壊・労働者の権利破壊を跳ね返す闘いに全力を挙げよう。