全労協声明 原発17基の再稼働を許すな! / 全労協新聞 2014年6月号 2面から


全労協声明

鹿児島川内をはじめとする
原発17基の再稼働を許すな!


4・11「エネルギー基本計画」閣議決定を弾劾する

日、「エ画」閣議決定した。これは民主党政権が掲げた「原発ゼロ」を転換し、旧来の原発依存に回帰する誤った政策である。また「原子力は重要なベースロード電源」と位置づけ、従来通り原発の新規増設、もんじゅの推進は、今や破綻が明白な核燃料サイクルの推進を継続するという内容である。

当初案から、福島原発事故の反省や教訓が削除されるなど、六〇%を超える国民全体の民意が求めていた「原発ロ」の世論に背を向け、原子力エネルギーから再生可能エネルギーへの転換の道筋も、う、到底許されない原発推進回帰政策である。

福島原発は、震災から三年たっても収束せず、依然として十六万人の県民が避難生活を強制され、止まらない汚染水問題にも明らかなように、むしろ事態は深刻さを増すばかりの状況にある。未曾有の原発事故を顧みず、その反省も教訓も生かされない「基本計画」の閣議決定は、被災された者への心痛を逆なでする許せない行為である。


川内原発をはじめとす17基の再稼働反対!

原子力規制委員会は、二〇一三年策定された「新規制基準」に基づき、電力会社からの「再稼働申請」を審査し、再稼働に動き出している。

しかし、東京電力福島第一原発の事故から三年、いまだに原因が明らかにされていない。にもかかわらず、政府は「世界一厳しい新安全基準」とウソブいている

福島第一原子力発電所の事故を起こした一~三号機の原子炉内部は一度も確認できていない。つまり何故全電源が喪失したのか、その原因は何により引き起こされたのか判明していない。専門家の推測などでは、原子炉内の配管系統が地震により損傷を受けたこと、地震により全ての電源が喪失したとの説もある。

原因が判らず「再発防止対策」が確立できる筈はないのである。

ならば、日本列島どこでもマグ二チュード七・〇~九・〇の巨大地震の発生は必然であり、歴史が示すとおりである。福島第一の過酷事故を二度と繰り返さぬためにも、原発ゼロ方針への転換こそ日本が生き延びる唯一の取るべき政策である。


原子力規制委員会によの「適正報告」を許すな!

原子力規制委員会は、鹿児島県川内原子力発電所の「再稼働申請」の審査を優先し、この五~六月には「安全基準書」を表、パブリックコメントに付して、再稼働への道筋を付けようとしている。そしてこの夏には川内原発の再稼働が焦点となっている。ところが審査過程では、桜島の噴火による火山灰や、周辺火山による火砕流の被害が原発に及ぼすど、「再稼働ありき」の審査が進められている。こうした原子力制委員会の姿勢を弾劾しなければならない。

一方、原発立地自治体はいうに及ばず、三十㌔圏内の周自治体も避難防災計画の策定が義務付けられたが、短時間に数十万の住民が避難可能な計画の策定自体がそもそも不可能である。再稼働の有無の判断は、緊急時の避難計画の実効性適否について検討対象になく安全上無責任な審査といわなければならない。

福島第一原発廃炉・収束作業には全国から原発労働者が集められ、その数四〇〇〇人と言われている。もし川内原発の再稼働を許せば多くの原発労働者が招集され、福島第一原発の収束作業に従事する労働者が股裂きにあい、収束作業の進捗そのものに大きな影響を与えるのは必死である。

今必要なことは、川内を始めとする十七基の原発再稼働ではなく、福島第一原発の事故の収束・廃炉作業に、政府を挙げてあらゆる叡知・人的資源を集中することだ。

全労協は、現在も続く福島県民をはじめとする近隣の住民の悲痛な避難生活、困難な生業や、子供たちへの放射能汚染の深刻な影響を遮断するため、労働組合の社会的責任と使命を果たしていく。

そして、原発再稼働を阻止するため、すべての労働者、市民と共同した闘いを進めてゆく。



(F)