七月二十一日の第二三回参議院選挙の低投票率は、勤労国民の政治への不信感や喪失感が蔓延している事を示している。しかし、自民党は改選議席(一二一)の過半数をこえる六五議席を獲得し、非改選五〇議席と合わせて一一五議席となった。連立を組む公明党十一議席とあわせて安定多数となる結果を許してしまった。
参院選は日本の政治の方向性を決める、いわば歴史的な闘いであると位置づけ闘ったが、われわれは安倍政治に対する怒りや不満の声を組織しきれなかった。その受け皿となりうるべき戦線を構築できなかった。
一方、憲法改正を掲げる政党(自民党、日本維新の会、みんなの党など)の獲得議席は八一議席で、非改選と合わせても発議に必要な三分の二には届かなかった。すでに衆議院では改憲勢力が三分の二以上を占めており、この参院選の結果次第では日本の社会の未来を大きく左右することになった。
安倍政権の
暴走と闘う
今、新自由主義の矛盾が一挙に噴き出し、労働者・市民を襲っている。グローバリズムという資本の生き残りをかけた世界的大競争時代である。大企業や富裕者の経済活動を活性化させ、労働者や社会的弱者のための雇用政策や福祉・教育政策は、個人の責任や受益者負担の原則で厳しく抑制し、削減する。そして資本は憲法が保障する様々な社会権が邪魔になってきた。様々な権利は闘いの歴史の上にある。
今回の参院選では、低所得で生活苦にあえぎ、将来に希望が持てない格差と貧困の増大、そして同時に原発再稼働、TPPへの参加、消費税増税、沖縄の基地問題、そして憲法改「正」の動きなど、安倍政権が目指す「国のあり方」(国家戦略とも言うべきか)に対する闘いが課題であった。
今回の選挙結果で「衆参ねじれ」が解消され、安倍・自公政権の暴走はさらに加速していくと思われる。
次の闘いに備え全力を挙げなければならない。「骨太方針」は、経済再生と同時に財政再建を両立させるとし、消費税増税はもとより社会保障給付の徹底削減、そして安倍首相自ら「成長戦略実行国会」と名付ける秋の臨時国会のテーマは、「雇用の規制緩和」「失業無き労働移動の実現」だと発言している。成長戦略を策定した産業競争力会議のテーマ別会合では「解雇が過度に抑制さている」(慶応義塾大学の竹中平蔵教授)、「まず(解雇が)できるのだという制度を大前提に置くべき」(ローソンの新浪剛史CEO)など雇用制度改革担当の民間議員から解雇規制の緩和を求める発言が相次いだと伝えられている。
これを結びつける努力をわれわれ労働運動が担わなければならない。われわれ労働者・市民が安心して働き生活のできる社会実現のために、護憲・平和と人権、民主主義を守る国民的な大運動を作り上げなければならない。
(F)