6・2さようなら原発集会に7500人(6月2日)
昨年の総選挙で自民党は、ナショナリズムを煽りながら、改憲への着手、自衛隊の国防軍への名称変更などを公然と掲げ、そして安倍政権が誕生した。公明党とあわせて衆議院の三分の二議席を確保し、日本維新の会も五四議席を確保し、みんなの党も議席を伸ばすなど、改憲勢力は憲法改正を発議できる議席を獲得した。
この間の、東京電力福島原発の事故以来、脱原発の大衆闘争の盛り上がりがあるのにもかかわらず、われわれはこの結果を許してしまった。労働運動の停滞がいわれ、脱原発の政治勢力が弱体化或いは分散化させられている今日、脱原発の闘いを軸にした「共同戦線」の構築が求められていたわけだが、残念ながらわれわれの側が未熟であったといわなければならない。このことに労働組合としての責任も問われると思う。
安倍政権は、円安・株高などアベノミックスによる効果に自信を深めたかに見える。「第三の矢」である成長戦略では、十年後には一人当たりの国民総所得(GNI)を一五〇万円以上(約四割)増やす計画だそうだ。原発事故の原因も完全には明らかにされないままの原発再稼動・輸出推進、TPP交渉参加、沖縄・辺野古の埋立て申請などますます前のめりの姿勢を示している。
一方、働く労働者の状態はどうなっているのか。名目賃金も、実質賃金も下がり続け、完全失業率は、五%弱に下がったが、依然として三〇〇万人台と高止まり、非正規労働者の増大は止まらず厳しい生活実態に置かれ、非正規労働者の水準に引きずられるかたちで、正規労働者の賃金もここ数年は低下させられる一方にあり、正規・非正規を問わず労働者の年収は低下している。相対的のみならず絶対的にも貧困が増大し格差の拡大は続いている。アベノミックスは一部の大企業だけが恩恵をこうむることにしかならず、雇用の大半を占める中小、零細企業など、内需型企業の発展とそれにともなう雇用拡大こそが急務なのではないか。
反撃の手がかりはあるか。沖縄の辺野古への基地移転やオスプレイ配備に反対する闘いは沖縄だけでなく全国的な連帯の下で続けられ、七~八割の国民は脱原発を主張し、脱原発の大きな大衆闘争が盛り上がっており、衰えていない。
当面、これもなかなか困難な闘いだが、七月には参院選(七月四日公示・二十一日投票)がある。参院選ではいかに改憲勢力の台頭を抑え、そしてこの参院選を通じ、参院選後の護憲戦線をどのように構築していくのかが問われる。参院選の結果如何では、憲法改正手続き九六条の改定だけでなく、一挙に新憲法制定へと突き進む危険性を孕んでいる。
共同戦線の構築にあたって党派間の対立、団体間の違いなどが表面化することがあるが、労働者階級の利益に優先する党派的利益はないということであると思う。これは、政治の反動化(原発・軍事大国化・憲法改悪)といかに闘うのかということである。
参院選後に正念場を迎える。選挙後に備えて改憲阻止戦線を組織化し、改憲攻撃に反撃する戦線の構築にとりかかろう。この闘いに労働者・労働組合が中心となり、「護憲の共同戦線」というようなものを作り上げていかなければならない。
(F)