全労協は二月九日投開票の東京都知事選挙で「都知事選に勝利し、安倍自民党政権に打撃を与え、政府が進める原発政策や格差と貧困問題の解消など、『日本が世界で一番労働しやすい国』をつくるための突破口を切り開こう」と呼びかけた。
今日の格差と貧困の拡大、労働法制の規制緩和、労働者の権利低下等々は自民党政権によってもたらされたものだ。特に小泉政権下で製造業の派遣労働を解禁させ、そのことが「年越し派遣村」に象徴されるような、非正規労働者の使い捨てが横行する事態を招いた。そして当時の厚労大臣「舛添」氏は、派遣村に集まった人々を「怠け者」呼ばわりしたことを多くの労働者は忘れていない。
また、同氏を推薦する自民党は原発を推進してきた。そして福島第一原発事故を起こし、多くの人々の生活を破壊し、仕事を失わせた。原発事故後、超高線量の放射線に曝されながら収束作業にあたる労働者の労働環境やピンはねなどの横行を放置し、原発再稼働や原発輸出に積極的である。
全労協は、「格差是正」や「脱原発」を求める労働者・市民への労働組合運動の社会的責任として、憲法を護り、原発のない社会の実現、格差と貧困問題など、安心して働き・安心して暮らせる社会実現のために一貫して闘ってきた宇都宮健児氏を推薦して闘った。
東京都知事選挙をめぐっては、「脱原発候補の統一」について少なからず意見が寄せられた。前知事の突然の辞職によってもたらされた今回の知事選であるが、われわれの戦線内に、知事選といわず国政選挙といわず、その政治戦線の準備がなされていなかったことを反省せざるを得ない。このことを踏まえ、戦線を再構築して次に備えなければならない。
安倍政権が狙う労働政策は、有期雇用や派遣労働の規制緩和、労働時間規制の緩和と適用除外制度の導入、そして正社員の解雇規制の緩和、解雇の金銭解決など、国家目標実現のための最重要政策として位置付けられている。要するに「解雇ルール」、「労働時間法制」、「有期雇用制度」を見直すという、雇用や労働条件に関する規制緩和だ。
舛添新知事は、政策の中で、「世界一のビジネスインフラに向けた国際戦略特区の設置」をあげ、外国企業の投資を促すために、自治体レベルで大幅な規制緩和を行おうとしている。これはとても労働者の味方とはいえない。
すでに14春闘が始動している。デフレ脱却に向け「企業収益拡大を賃金上昇につなげる」と政労使が「賃上げ」で合意したと伝えられているが、「二〇一四年版経営労働政策委員会報告」は、「業績が好調な企業は、拡大した収益を設備投資だけでなく雇用の拡大や賃金の引き上げに振り向けていくことを検討する」としているものの、一方で、「わが国従業員の賃金は本当に低下しているのか」と問い、「内部留保の確保は企業の持続的成長に不可欠」だと。賃上げについては、「年収ベースでみた報酬の引き上げ」と捉えるべきだと、ベア回避についての姿勢に変わりはない。
今14春闘ほど政治に対する闘い、取り組みが求められている春闘はないのではないか。大幅賃上げの闘いとともに、労働法制改悪反対、護憲、脱原発の闘い、反基地の闘い、反TPP等々、全ての労働者・国民が、安心して働き生活のできる社会実現のために全力で闘おう。
(F)