労働者の生活に根ざした要求で13春闘を全力で闘おう 全労協新聞12月1日1面

労働者の生活に根ざした要求で13春闘を全力で闘おう 全労協新聞12月1日1面




護憲、脱原発、脱貧困・格差社会
衆議院東京都知事選挙で政治を動かす突破口を
労働者の生活に根ざした要求で13春闘を全力で闘おう


「近いうちに国民の信を問う」と約束した野田首相は、十一月十六日衆議院を解散し、十二月四日公示、十二月十六日投開票の日程で総選挙が行われることになった。解散の条件とされた衆議院の定数削減、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加や原発推進などは民・自・公に政策的な差異はなく選挙後は、自民党が主導する事実上の大連立といわれている。十一月十四日に衆議院解散に言及した党首討論以降、民主党離党者が相次ぎ、政党間の離合集散の動きが慌ただしく、また右翼的な「第三極」結集の動きも激しくなってきている。

「期待」を背負って誕生した民主党政権だったが、この三年数ヶ月あまりわれわれに何をもたらしたのだろうか。

原発事故による生活・健康破壊、原発再稼動容認、格差と貧困、労働者派遣法の骨抜き修正、労働契約法制定などの雇用不安、年金給付額の引き下げ、公務員賃金引き下げ、生活保護の切り捨て、米軍基地とオスプレイの危険、消費税増税など「期待」しないものばかりで、政治は労働者・市民の不安と困窮を何一つ解決していない。こうした怒りが右翼「第三極」を生み出しているのだ。

今次選挙で連合は、民主党と「希望と安心の社会の実現に向けて」パートナー関係を再確認し、「引き続き手を携え行動し、この国の未来を切り開いていく」「重点政策の実現に向け、連合は民主党を全面的に支援する」と述べている。

「護憲、脱原発、脱貧困・格差」社会実現のための政治勢力を作り出さなければならない。そして、護憲、脱原発、消費税増税中止、TPP参加阻止など、人間らしく生き、働くことができる社会の実現に向けて全力をつくさなければならない。

同日には東京都知事選挙もある。この闘いに勝利することは国全体の政治にも影響を与えるはずである。この闘いもまた政治を動かす突破口にするために総力をあげよう。

「平成二四年版労働経済の分析(労働経済白書)」では「二〇一一年の有効求人倍率は〇・六五倍、完全失業率は四・六%で、持ち直しているものの依然として厳しい」「円高により、製造業のうち電気機器製造業などでは雇用面への影響も生じつつある。今後も円高が進んだ場合、製造業の二割の企業が賃金・雇用調整を行う可能性あり」と報告されている。今年の九月段階での完全失業率は四・二%と横ばいになっているが、今、電機業界を中心に行われている生産縮小工場閉鎖などで大量の希望退職募集が行われ、非正規労働者の契約解除や雇い止めが多くなっている。リストラ攻撃が強まれば失業率は再び高まることも予想される。

全労協は十二月十五日、闘う春闘の大きな拡がりを作りだすために、春闘討論集会を開催し、復興連帯、脱原発社会の実現、人間らしく生活できる大幅賃上げ、貧困・格差是正非正規労働者の権利確立、消費税増税阻止、大飯原発即時停止、TPP参加反対、沖縄の基地問題等を柱とする13年春闘方針を決定する。

連合の13年春闘構想案では、「13年春闘で基本給や賞与、諸手当などを合わせた給与総額の一%引き上げを求め、基本給のベアについては統一要求を見送り、産業や企業ごとの組合に対応を委ねる」方針といわれている。

非正規労働者が全雇用労働者の三五%を占め、年収二〇〇万円以下で働く層が一、一〇〇万人を超えている。そして、厚労省が地域別最低賃金での収入が生活保護の給付水準を下回る「逆転」地域が十一都道府県あると。

雇用と賃上げは労働者の生活に根ざした切実な要求である。生活できる大幅賃上げと生活できる最低賃金引き上げ獲得のために13春闘を全力で闘おう。


(F)