総資本と対決する13春闘を闘おう  全労協新聞 2013年2月号 1面

総資本と対決する13春闘を闘おう 

全労協新聞 2013年2月号 1面


イメージ 1

総資本と対決する13春闘を闘おう
規制緩和を求める経団連、解消されない働く貧困
労働運動が市民運動とともに護憲派の総結集を


東日本大震災の発生からまもなく二年になる。「震災からの復興が最重要課題」と政府は繰り返し述べてきた。しかし復興は遅々として進まず、被災地住民の生活は元の姿を取り戻せないばかりか、東電福島第一原発事故の収束も見えず、避難している一六万人は、故郷に戻るめどすら立たない状況にある。

さて、原発再稼働反対の世論が七~八割を占め、沖縄の軍事基地問題、TPP、消費税増税への根強い反対、社会保障の制度崩壊、格差と貧困の拡大など、問題は何も解決していないなかで新たな年を迎えた。昨年の衆議院総選挙では、憲法改正を公約した自民党と維新の会が衆院の三分の二の議席を占め、憲法体制を根本から変えようとする勢力構成となった。

この自民党大勝は何を示しているのか。確かに要因の一つには小選挙区制度にあることは言うまでもないことである。しかしもう一方の要因は、労働運動が社会を動かす影響力を失っていることである。

衆議院総選挙結果は一挙に憲法改悪に突き進む危険性が現実的になってきたことを示す。しかし自民党が政権に復帰したとはいえ、有権者総数比で小選挙区は二五%、比例ではわずか一六%の支持に過ぎず民意を反映しているとは言えない。

安倍首相は七月の参院選で勝利し過半数を獲得し、衆参両院で政権運営の主導権確保を狙うと伝えられている。

参院選も同じ結果にしてはならない。人間らしく安心して働き生活できる社会にするために、労働運動が市民運動と共に護憲派の総結集を目指さなければならない。われわれは大きな岐路に立たされている。

日本経団連の「二〇一三年版経営労働政策委員会報告」が明らかにされている。

「活力ある未来に向けて~労使一体となって危機に立ち向かう~」と題されたそれは、日本経済の危機を煽り、企業の事業活動の厳しさを強調し、労働組合に企業への「従属」を迫る。原発問題については、政府の「二〇三〇年代の原発稼働ゼロ」をめざすとする決定を、企業経営を圧迫するとして見直しを求めている。これには、利潤追求を優先し安全対策を軽視してきた結果引き起こされた福島原発事故に対する反省はない。労働法制についても、「就業規則の不利益変更ルールの透明化」、「自律的労働時間管理を可能とする仕組み導入などの労働時間制度改革」、「最低賃金決定にかかわる雇用戦力対話の抜本的見直し」など、政府に対して規制緩和を求めている。

非正規労働者の処遇、とりわけ賃金について「労働市場の需給関係の影響を受けることをふまえる必要がある」としている。厚労省が十二年十月五日に発表した最低賃金額は、最高の東京でも八五〇円、最低の島根と高知で六五二円しかなく、しかも雇用は安定せず非正規労働者の割合は三割を超え、今日、非正規労働者の四人に三人は年収二〇〇万円以下で働いている。同じ仕事をしていても正社員と非正規社員では賃金が倍以上か或いはもっと格差があり、まさに非正規労働者は企業にとっては雇用の調整弁となっている。これでは「働く貧困層」・ワーキングプアを解消していくことはできない。

そして13春闘への対応は、「企業の経営環境は『悪化の一途』」と強調し賃金交渉のうちベースアップ(ベア)を「協議する余地はない」と一蹴、「定期昇給(定昇)についても時期の延期や凍結について協議せざるを得ない場合もあり得る。聖域にすべきでない」と厳しい姿勢を示している。全く労働者の深刻な実態を無視している。

人間らしく安心して働き生活できる社会実現のために、総資本と対決する全ての労働者と共に全力で13春闘を闘おう。



(F)