異議申出書と共に、「要旨の公示・異議の申出の根拠条文に関する要望」を提出した。
というのも
というのも
1.法律は変わっていないが、兵庫の公示は、昨年以前は第11条を基に、今年は第12条を基にしている
「最低賃金審議会の意見に関する公示」の条文が違っているのは、以下で確認できます。
2012年の公示は、12条
去年までの公示は、11条
法律は変わっていないのに、どうしてこんなことになっているのか?
各労働局は11条で出していた公示を、厚生労働省の指導に基づいて12条に変更していっているようだが、
今年も各労働局の公示は11条と12条の二つが入り混じっている。
来年になると、指導が強化され、だいたい12条にそろってくるのかもしれない…
2.大阪労働局は、今年の途中で11条から12条に訂正
厚生労働省の指導が良く分かるのは、大阪労働局の公示。
公示の訂正が行われている。
平成24年8月6日大阪地方最低賃金審議会から大阪府最低賃金の改正決定について意見の提出
があったので、最低賃金法(昭和34年法律第137号)第11条第1項の規定に基づき、その要
旨を下記のとおり公示する。
なお、大阪府の区域内で事業を営む使用者又はこれに使用される労働者(これらの者の団体を含
む。)であって、当該最低賃金の改正決定に異議があるものは、同法第11条第2項及び同法施行規
則(昭和34年労働省令第16号)第8条の規定に基づき、平成24年8月21日までに大阪労働
局長あて(大阪市中央区大手前4-1-67、大阪合同庁舎第2号館)異議の内容及び理由を記載
した異議申出書を提出されたい。
む。)であって、当該最低賃金の改正決定に異議があるものは、同法第11条第2項及び同法施行規
則(昭和34年労働省令第16号)第8条の規定に基づき、平成24年8月21日までに大阪労働
局長あて(大阪市中央区大手前4-1-67、大阪合同庁舎第2号館)異議の内容及び理由を記載
した異議申出書を提出されたい。
平成24年8月6日
大阪労働局長 西 岸 正 人
大阪労働局長 西 岸 正 人
記
大阪府最低賃金の改正決定に係る大阪地方最低賃金審議会の意見の要旨
大阪府最低賃金を次のように定めること。
1 適用する地域
大阪府の区域
2 適用する使用者
前号の地域内で事業を営む使用者
3 適用する労働者
前項の使用者に使用される労働者
4 前項の労働者に係る最低賃金額
1時間800円
5 この最低賃金において賃金に算入しないもの
精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
6 効力発生の日
法定どおり
○写
大阪地方最低賃金審議会の意見に対する公示の訂正
大阪地方最低賃金審議会の意見に対する公示の訂正
平成24年8月6日に公示した大阪地方最低賃金審議会の意見に対する公示(大阪労働
局一般公示第43号)中「第11条第1項」は「第12条」の、「同法第11条第2項及び
最低賃金法施行規則(昭和34年労働省令第16号)第8条」は「同法第12条」の誤り
につき訂正します。
平成24年8月16日
大阪労働局長 西岸 正人
▲厚生労働省が12条だと言って、それに基づいて訂正しているのだろうが、「誤り」かは??…
元々の法文を読むと、11条が正しくて、「訂正」の方が誤っているのでは?という気になる。
3.法文はどうなっているのか 11条、12条
(地域別最低賃金の決定)
第十条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域ごとに、中央最低賃金審議会又は地方最低賃金審議会(以下「最低賃金審議会」という。)の調査審議を求め、その意見を聴いて、地域別最低賃金の決定をしなければならない。
2 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつた場合において、その意見により難いと認めるときは、理由を付して、最低賃金審議会に再審議を求めなければならない。
(最低賃金審議会の意見に関する異議の申出)
第十一条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前条第一項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。
2 前条第一項の規定による最低賃金審議会の意見に係る地域の労働者又はこれを使用する使用者は、前項の規定による公示があつた日から十五日以内に、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に、異議を申し出ることができる。
3 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による申出があつたときは、その申出について、最低賃金審議会に意見を求めなければならない。
4 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第一項の規定による公示の日から十五日を経過するまでは、前条第一項の決定をすることができない。第二項の規定による申出があつた場合において、前項の規定による最低賃金審議会の意見が提出されるまでも、同様とする。
第十一条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前条第一項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。
2 前条第一項の規定による最低賃金審議会の意見に係る地域の労働者又はこれを使用する使用者は、前項の規定による公示があつた日から十五日以内に、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に、異議を申し出ることができる。
3 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による申出があつたときは、その申出について、最低賃金審議会に意見を求めなければならない。
4 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第一項の規定による公示の日から十五日を経過するまでは、前条第一項の決定をすることができない。第二項の規定による申出があつた場合において、前項の規定による最低賃金審議会の意見が提出されるまでも、同様とする。
(地域別最低賃金の改正等)
第十二条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金について、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をしなければならない。
第十二条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金について、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をしなければならない。
▲ご覧のように、「要旨の公示」「異議の申し出」を規定しているのは、11条。
12条には、そうした文言はない。
各労働局は、法改正後、11条を基に公示を作成してきた(~もちろん本庁と関係なく作るわけはない~)。
たぶん、ある日、厚生労働省の(若い)担当者が、毎年行っているのは「地域別最低賃金の改正等」だから、12条だと思いついて、12条への指導が始まった(H21年12月、法改正後2度公示を出した後ぐらい)、ということではないかと思う。
12条が改正なので、その前にある11条は改正ではなくその前の手続きになるハズだ。改正ではないから、新設、そうだ最初の最低賃金の決定に関する条項だ。と思いついて… (勝手な想像ですが)
とにかく、厚労省が12条だといい始めても、なかなか進まないのは、やっぱり11条に「要旨の公示」「異議の申し出」を規定があって、12条に無いからで、各労働局の担当者も、まさか12条だとは思いもしない…ということで、何年たっても進んでいない?
4.12条「その決定の例により」って何?
結局は12条の「その決定の例により」という文言に拠っているらしい。
日本語として、何を言っているのか良く分からないが、
法令でも、この文言、http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi で検索してみると、最低賃金法と家内労働法でしか使われていない、特殊な言い方だった。
なので、一般的には(労働局の最低賃金担当職員も)何を言っているのか理解できない。
「改訂3版 最低賃金法の詳細」(労働調査会)(H21年2月)58ページに一つの見解が示されている。
『「決定の例により」とは、第10条第1項の決定をした厚生労働大臣または都道府県労働局長が、決定の場合におけると同様、最低賃金審議会の調査審議を求め、審議会における専門部会の設置、関係労使の意見聴取、審議会の意見の要旨の公示、関係労使の異議申出の手続等を経たうえ、審議会の意見を聴いて当該最低賃金の改正または廃止の決定を行うことを指す。』
結局、アレモコレモこの言葉に含まれているとする解釈だが、
これを読まずして、このような解釈をできる人はいない。
(読んでも、なんでそんな解釈ができるのか良く分からないが…
要はここが改正手続きの項だから、そうした解釈をしないとつじつまが合わない的な…)
この12条が改正手続きだというなら、法改正の時に…改正手続きを整理して、11条を準用するということで法文を整理していたら、一般的で誰でもわかるが・・・
5.改正前の最低賃金法の時から言っても改正11条を基にしてさほど問題ないのでは??。
(神戸支部で最初に出したのが法改正前の2007年…)。
ちょっと手元の資料が少ないが、改正前の法律では、公示は「16条の2」第1項に、異議の申出は、「第16条の2」第2項に規定されていて、それに基づいて労働局が公示と、こちらの異議申出を行っていた。
したがって、旧「16条の2」が、改正法第11条になっているのだから、旧法の流れから言えば、第11条に基づいて労働局が公示し、11条に基づいて異議申出を行ってきたのは、当然のことであった。
旧法「16条の3」が、改正法「第12条」になっているが、これに基づいて、公示や異議の申出が行われていたわけではなかった。
(12条に統一しようという人からすれば、何言ってるのということになると思いますが)
6.特定最低賃金の場合は 11条。 法律と公示例
(特定最低賃金の決定等 )
第十五条 (省略)
3 第十条第二項及び第十一条の規定は、前項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつた場合について準用する。この場合において、同条第二項中「地域」とあるのは、「事業若しくは職業」と読み替えるものとする。
4 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第二項の決定をする場合において、前項において準用する第十一条第二項の規定による申出があつたときは、前項において準用する同条第三項の規定による最低賃金審議会の意見に基づき、当該特定最低賃金において、一定の範囲の事業について、その適用を一定の期間を限つて猶予し、又は最低賃金額について別段の定めをすることができる。
第十五条 (省略)
3 第十条第二項及び第十一条の規定は、前項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつた場合について準用する。この場合において、同条第二項中「地域」とあるのは、「事業若しくは職業」と読み替えるものとする。
4 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第二項の決定をする場合において、前項において準用する第十一条第二項の規定による申出があつたときは、前項において準用する同条第三項の規定による最低賃金審議会の意見に基づき、当該特定最低賃金において、一定の範囲の事業について、その適用を一定の期間を限つて猶予し、又は最低賃金額について別段の定めをすることができる。
特定最低賃金の方は、15条の見出しは、「決定」ではなく「決定等」になっている。
そして11条の「準用」が明記されている。
なので特定最低賃金の公示は、こんな感じ
(省略) 最低賃金の改正決定について意見の提出があったので、最低賃金法( 昭和3 4 年法律第1 3 7 号)第1 5 条第3項において準用する同法第1 1 条第1 項の規定に基づき、その要旨を別紙のとおり公示する。
(省略) を営む使用者又はこれに使用される労働者( これらの者の団体を含む。)であって、当該最低賃金の改正決定に異議があるものは、同法第1 5 条第3 項において準用する同法第1 1 項第2 項及び最低賃金法施行規則( 昭和3 4 年労働省令第1 6 号)第8 条の規定に基づき (省略)
異議の内容及び理由を記載した異議申出書を提出されたい。
と、特定最低賃金の意見に関する公示は、11条が準用されている。
7.兵庫労働局と厚生労働大臣に
要望の趣旨は、ザックリ言うと
兵庫労働局には、とりあえず、なんで11条から12条に変わったのか説明を、ということと、
厚生労働省には、労働局によってバラバラなのはおかしいので、こっそり指導するだけでなく、12条なんだとする解釈の説明文をホームページに掲載するなど説明したら、というのと、
やっぱりみんなが理解した分かりやすい11条の解釈にしたら、もしくは、法改正して分かりやすくしたらどうなの、
という要望。
(F)