安全無視の原発再稼働を許すな 全労協新聞 2012年7月号 1面

全労協新聞 2012年7月号 1面
 


安全無視の原発再稼働を許すな
 
大飯原発再稼働反対、さらに脱原発の闘いを
社会保障抜本改革棚上げの消費税増税反対
 
 
福島の事故を教訓に脱原発依存を掲げたはずだった政府が、最終的には野田首相、枝野経済産業相ら関係閣僚の協議で、関西電力大飯原発三、四号機の再稼働を正式決定した。

野田首相は記者会見で、再稼働の必要性を「原発を止めたままでは日本の社会は立ちゆかない」「夏場限定の再稼働では国民の生活は守れない」と強調し「計画停電になれば、命の危険にさらされる人、働く場がなくなってしまう人も出る。私がよって立つ唯一絶対の判断の基軸だ」と述べ、関西電力大飯原発三、四号機に関し「国民生活を守るため再稼働すべきだというのが私の判断だ」と表明した。そして再稼働した場合の安全対策では、専門家による議論を重ねたと説明し「福島を襲ったような地震津波が起きても事故を防止できる」と述べ、「東京電力福島第一原発事故を受けた緊急安全対策により、重大事故は起きないはずだから、『念のため』の対策はとりあえずなくても大丈夫」「大飯では東京電力福島第一原発事故の時のような地震津波が起きても事故は防止できる」と断言した。

しかし政府は、福島原発事故から一年三ヶ月以上も過ぎるというのに、事故の原因を解明せず誰も責任を取っていない。今後のエネルギー政策や過酷事故対策を先送りしたままだ。重要な対策で時間のかかるものは先送りし、安全基準は暫定のうえ、基準をつくる規制庁も発足してない。そもそも政治判断の根拠にされた安全基準はあの福島第一原発事故の張本人、経産省原子力安全・保安院が作った安全基準だ。首相の言う「安全」とは何なのか、首相が「安全」と言うから「安全」なのか。事故防げる根拠どこにあるのか、福島の教訓が生かされてない。一旦事故が起きれば、多くの人々の生活が脅かされるのが明らかになっている。そして福島事故の被災者への責任もあいまいなまま再稼働を優先し、崩れた「安全神話」へ逆戻りしようとする野田首相はどんな責任をとってくれるのか。「国民生活を守る」と言いながら、政府が強調する大飯原発再稼働の安全性とはこの程度のものだ。

ところで関西電力が一方的に主張する「この夏の電力不足」は本当なのか、原発抜きでは計画停電は避けられないのか。経済界から再稼働に対する強い要望があったといわれているが、われわれは提案したい「経済の繁栄は原発に頼らない持続可能な社会を目指そうよ」と。そして危険と隣り合わせに生きた原発立地地域の痛みも理解できる。それならばわれわれは原発より暑い夏を喜んで受け入れよう。

国民に広がる安全への不安を解消できないまま再稼働に突き進もうとする政府に不安と不信を抱くのは当然である。そして、大飯原発三、四号機再稼働を皮切りに、四国の伊方原発、北海道の泊原発と、なし崩し的に再稼働を目論む政府の姿勢をわれわれは許さない。

さらに、消費税増税を含む「社会保障と税の一体改革」関連法案が民主、自民、公明の三党で修正協議され合意に達したと報じられている。その内容は社会保障の抜本改革を棚上げするなど一体改革には程遠い。しかし消費税は上げるという。これでは最初から増税だけの一体改革いわれても仕方がない。この協議も自民案を軸に進められ、政府与党の責任が放棄されこれで政党政治といえるのか。

今国会で成立すれば消費税は五%から二〇一四年四月に八%、一五年十月に十%へと引き上げられる。〇九年衆議院選で消費税増税はしないと約束し政権についた民主党、一〇年参院選増税を掲げて惨敗した民主党政権。崩壊が始まった。


7・16さようなら原発
10万人集会に結集しよう
 

7月16日(月・休)開会13時〜
会場 代々木公園B地区(東京)
呼びかけ
さようなら原発一〇〇〇万署名市民の会


●7・16さようなら原発10万人集会
10万人集会の成功を
8・12労働者集会へ

野田首相は多くの反対を押し切って関西電力大飯原発三・四号機の再稼働を始めました。これを受けて関西電力原発再稼働の準備に着手しています。原発利権に巣くってきた福井県知事や地元町長、県原子力安全委員会と結託して、再び子供と女性、住民と労働者を放射能被曝に曝そうとしています。再び巨大地震が発生する可能性が指摘されている中、福島第一原発事故の原因究明もされないままに、再び安全神話を作り上げよう、としています。電力会社と財界による「電力不足」「停電」の恫喝に屈し、脱原発社会から逆行を始めようとしています。

六月十五日、大江健三郎さんなどが一〇〇〇万人署名の一部として約七五〇万人分の署名を政府に提出し、六月十七日、大飯原発のある福井県に多くの労働者市民が結集し、原発再稼働を阻止する集会が二二〇〇人を結集して闘われました。

政府はこうした労働者市民の願いをあざ笑うかのように再稼働を強行しようとしています。脱原発社会を実現する闘いは今大きな山場となっています。なんとしても全ての原発廃炉にして、再生可能な自然エネルギーヘと政策転換を実現させなければなりません。

来る七月十六日には昨年九月十九日六万人集会を上回る十万人集会が準備されています。そして労働者・労働組合が主体となって反原発運動を担い、職場の被曝問題を解決する闘いのために「小出裕章が語る―原発のない世界へ」8・12労働者集会(二面に案内)が開催されます。
7・16さようなら原発10万人集会の成功に向け一人でも多くの仲間の参加を実現するために全国各地から参加をしよう。


 
(F)