脱原発は労働組合の社会的責任  全労協新聞 2012年2月号 1面

全労協新聞 2012年2月号 1面
 


脱原発労働組合の社会的責任
政府の繰り返される公約違反、広がる格差・貧困
健康で働ける職場をめざして全力で闘おう
 
 野田内閣の支持率が三二%、昨年の十二月調査から六ポイント下落し、逆に不支持率が四四%に、昨年九月の内閣発足以来初めて支持率を上回ったと報じている。(毎日新聞一月二十三日)

 それもそのはずだ。やると言った(普天間飛行場の移設、八ッ場ダム建設中止、天下り全面禁止、子ども手当、労働者派遣の原則規定等々)ことはやらず、必要ないと言った消費税増税はなんら全体像が示されないまま一〇%引き上げが前提で議論され、不退転の決意で臨むと。TPPでも、医療や金融などの規制緩和を進めることになっていて、雇用、労働法制、医療(国民皆保険)、食品の安全規制、郵政の貯金、簡保部門など大きな影響を受ける可能性がある。

 また、東京電力福島原子力発電所の事故、昨年末政府は「『冷温停止状態』になりステップ二は終了した」と発表し、事故収束への道筋が未だに見えない中で原発再稼働の動きを活発化させている。今も原発被害が全国的な規模で拡大している。われわれの闘いの不十分さ故に今回の事故を許してしまった反省から、全労協は組織された労働者・労働組合の社会的責任として、今こそ反原発脱原発の社会を現実のものとしなければならない。

「さようなら原発一〇〇〇万人アクション」を国民的政治闘争として展開するために奮闘しなければならない。
 

職場から
12春闘
 多くの国民の期待を背負って誕生した民主党政権だったが、大企業優遇、対米従属の保守政権の延長でしかなく、政権交代後の次々に繰り返される公約違反でその期待は地に落ちたということだ。

 昨年七月十二日に公表された厚生労働省の「国民生活基礎調査」で、「二〇〇九年時点での日本の相対的貧困率は一六・〇%、これは〇六年時点の一五・七%から〇・三%上昇し過去最悪の数値」で、所得が一一二万円に満たない国民が一六%いたこと、つまり六〜七人に一人が相対的な貧困状態にあることを示していると。厚労省これは所得の低い非正規労働者や高齢者の増加が要因としている。

 また十一月九日厚労省は、「七月時点の生活保護受給者は二〇五万四九五人、受給世帯一四八万六三四一世帯で、六五歳以上の高齢者世帯が六三万五二七世帯(全体の四二%)」であったと発表した。その要因については、「特に二〇〇八年リーマンショック後の雇用悪化で急増し年金だけで暮らせない高齢者の増加に加え働く能力がある稼働年齢層での受給者が増えている」と。

 最近特に働ける年齢層を含む「その他の世帯(二五万一一七六世帯全体の一七%)の受給が急増し、その二/三は単身者世帯であって、しかも単身者世帯が増加傾向にあり、これは低賃金・不安定雇用の非正規労働者の増加が背景にあり、景気の低迷で収入が少なく雇用保険の保障が十分でない非正規労働者が仕事を失うと生活保護に頼らざるを得ない」と「現在の雇用情勢や無年金・低額年金しかない高齢者の増加を考えればさらに受給者増加は必至」と指摘している。

 全労協は12春闘で、一七、四〇〇円/月、一〇〇円/時の賃上げと、全ての労働者に一七〇、〇〇〇円/月、一二〇〇円/時の最低保障すること、過密労働を許さず時間短縮と長時間労働規制、残業割増率の中小企業への適用(改正労基法)、残業割り増し率・・五〇%深夜休日割り増し、一〇〇%時間外規制二時間/日、二〇時間/月一五〇時間/年(三六協定締結基準へ)と、非正規労働者・女性労働者・移住労働者の権利確立、均等待遇の実現など、職場闘争と省庁交渉と連携させつつ、健康で働ける職場を作り出す闘いに全力をあげる方針を決定した。
 


 
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