全国労働組合連絡協議会 第33回定期大会報告 / 全労協新聞 2021年12月号
#全労協
全国労働組合連絡協議会 第33回定期大会報告
非正規・女性・外国籍労働者の生活と権利を守る闘いを
全力で闘うのは労働組合の任務
十一月二十八日、全労協第三三回定期全国大会を開催し新たな三三期へ出発した。大会は佐藤副議長の開会挨拶、議長選出で進められた。
議長団には全水道東水労の国谷代議員、全国一般全国協の斉藤代議員が選出され、大会役員を指名、確認して議事に入った。まず、渡邉洋議長から常任幹事会を代表して挨拶が行われた。
議長はコロナ禍で大会開催が延期となったこと、また、リモートを併用しての討諭に協力いただいくことにお礼が述べられた。そして「菅前首相の突然の退陣と岸田新政権誕生後の総選挙は、野党共闘の健闘が見られたものの、結果として立憲野党は低迷し改憲勢力が拡大した。これを受けて、今後の政治動向を十分注視しながら、困窮する非正規労働者、その多くを占める女性労働者の生活と権利を守る闘いに全力を挙げることが労働組合の任務である。全力を挙げよう」と述べた。
続いて大会書記長・瀧口常幹より今大会に寄せられたお祝い・激励メッセージが紹介された。その後、大会資格審査委員会より出席並びにリモート参加代議員五五人と委任状提出二四人が報告され、議長から規約に則り大会成立が宣言された。選挙管理委員会和田議長からは次期役員体制について役員選考委員会への切り替え提案が行われ、全体で承認された。
議事は中岡事務局長より、議案並びに22春闘と参議院選挙について提出された補充議案の説明が行われた。その中で、22春闘の賃上げ要求額を補充議案で提案している二〇、〇〇〇円をけんり春闘実行委員会等の議論、原油値上げなどから高騰を続けている物価高に鑑み二五、〇〇〇円に引き上げる修正提案が行われた。久保書記次長から三二期の決算報告、三三期予算案が提案され、西山会計監査より監査報告が行われ、財政小委員会の設置を確認し、午前中の議事は終了し昼休み休憩に入った。
17人の代議員が発言・討論
十三時より質疑討論入った。
最初に金澤代議員(東京全労協東部ブロック)から東部地域の争議について東部けんり総行動の取り組みが紹介され、続いて千田代議員(東京全労協中部ブロック)はFAユナイテッド闘争の経過の報告が行われ、十二月には東京高裁から判決が出される状況が報告された。
発言の三人目には勅使河原代議員(ユニオンネットお互いさま)から日通から無期転換逃れのために解雇された労働者支援の署名取り組み要請がなされた。
四人目の朝倉代議員(東京全労協三多摩ブロック)は衆議院選立候補に伴う支援についてお礼が述べられ、日頃取り組んでいる労働組合活動から低賃金故に組合費の払えない労働者の現状とこうした問題点にまで細かく対応する体制の必要性が訴えられた。また、雇用類似の働き方が増えており、裁判や労働委員会など労働法制の隙間にある労働者救済へ向けた抜本的な運動の必要性が訴えられた。
五人目の星野代議員(宮城全労協)は福島第一原発の廃炉作業に従事して死亡した猪狩さんの労災裁判などの勝利経過報告と今後の取り組みへ支援要請が行われた。また、最低賃金闘争に関わり、東北六県で行政への要請行動に取り組むことが報告された。
六番目の南代議員(大阪全労協)は、介護職場の取り組みでの官民共同の強化が訴えられた。次に但馬代議員(大阪全労協議長)からは非正規労働者の多くは女性であり、生活は逼迫し、自殺者も増えており、女性労働者の声を闘いの中にしっかり取り入れること、全労協役員にあってもジェンダーバランスをしっかり作るように要請が行われた。
これまでの討論の中間答弁にたった中岡事務局長は、すべての争議に全労協はしっかり取り組むこと。また低賃金で困窮する非正規労働者が労組に参加する時に組合費にさえ困っている状況をしっかり受け止め、解決に向けて対策も検討していくことを確認した。また、原発再稼働を阻止していく闘いだけでなく、福島の復興や原発作業に関わる労働者の安全問題にもしっかり取り組んでいくことを確認した。そして全労協運動にジェンダーバランスをしっかり追求し、全労協は基礎構造が小さいが、役員に女性が加われる体制を早急に作り上げることを確認した。
争議・最賃・組織化・反原発等多彩な報告
大会は中間集約を挟んで後半の討議に移った。
八人目の日野代議員(電通労組)は自ら原告となって闘っている女川原発の再稼働差し止め仮処分を求める裁判は不当な決定を受けて本訴に移行したことが報告され、今後も全国の再稼働反対闘争と連携を強めて闘いを強化することが報告された。
九人目の嶋田代議員(全国一般全国協)から、最賃闘争について全国一般全国協の「中央最賃審議会、地方審議会へ意見提出、傍聴の取り組み」が報告され、全国一律最賃の実現に向けた取りくみ強化をキャンベーン運動など労働団体の枠を超えた取り組みと連携して強化することの要請が行われた。
十人目に討論に立った小村代議員(東京全労協東部ブロック)は自らが新型コロナに罹患し生死の境をさまよい、その間に多くの仲闘の励ましと支援で生還できたことにお礼が述べられた。また非正規で地下鉄構内の清掃の仕事に就いているが、郵政ユニオンなどの労契法二〇条裁判で勝ち取られた最高裁判決を使った交渉で、少しではあるが手当など前進している報告も行われた。
十一人目の瀧代議員(全労協退職者ユニオン)から脱原発プロジェクトの活動とさようなら原発一〇〇〇万アクションと連携した闘いや勉強会などへの参加要請が述べられ、
十二人目の坂本代議員(東京全労協中部ブロック)からはJAL不当解雇撤回闘争について新たに結成されたJAL非解雇者労組(JHU)の取り組みが紹介された。一方、客乗労組、乗員労組それぞれの原告団の内に相互不信も発生しており本部の現状認識について説明が求められた。
十三人目の国労・中谷代議員からは「『国鉄』を知らない若い労働者が多くなっている。JR東日本では労組組織率は全労働組合を合わせても二十%満たない状況であり、賃金引き上げも進まない状況で改めて職場での労組活動が重要になっている。組織拡大に努力を続けている」と報告がされた。
十四番目の寺嶋代議員(全水道東水労)からは、コロナ禍であったが第九二回日比谷メーデーでは代表者が中心となったがデモ行進も実施したこと、来期以降もメーデーにしっかり取り組むことが要請された。また、定年退職者が増える中で、全労協退職者ユニオンの位置づけと全体化、今後の方向性を明確に示すべきとの意見が表明された。
十五人目の諏訪代議員(国労高崎)から群馬県の非正規労働者、外国籍労働者の窮状について報告があり高崎での相談・組織化の取り組み状況と最賃闘争の重要性が訴えられた。
十六人目の兼子代議員(郵政ユニオン)は二〇条裁判の判決に背を向けて姑息な合理化を進める郵政当局との闘いが報告された。当局は無期転換に新たに条件を設定し、雇い止めまで考えている。非正規春闘として今後もストライキを配置して闘うとの決意が表明された。
最後、十七人目には佐々木代議員(京都総評)から「JAL争議に出ている不団結に心痛めている。納得いく解決に向けて団結して闘いを作ってほしい」「最賃闘争の重要性は増している。地域での闘いを積み上げ、全国一律に向かっては野党共闘と連携して法改正を進める必要がある」と要請が行われた。
全労協運動前進ヘ
議案を満場一致採決
討議はリモートで七人が発言し、会場から十人が討諭にたち、全体十七人の活発な討論となった。この討諭を受けて、中岡事務局長から中間答弁に加えて次のように集約発言が行われた。
第一に、22春闘は非正規の労働者、特に女性労働者、外国籍労働者の生活を守る闘い、最賃闘争の重要であること。職場・地域で労働組合の闘いによって賃上げを実現、地域相場を引き上げる闘いに全力を上げ、また、支払い能力規定など低額押さえ込みが行われる現状の生活実態を基にした八時間働けば生活できる賃金を保障できる抜本的な法改正運動に取り組もう。
第二に、地球環境を守る脱炭素社会への転換に原発が必要とする政府財界の詭弁を許さず、再生可能エネルギーヘ転換させる闘いを強化していこう。
第三に、JAL不当解雇撤回闘争について国民支援共闘共同代表によって団結回復と闘いの強化のための努力が行われている。当該争議団の納得できる解決を目指すとともに、当該労組をしっかり守り抜くことが重要である。不団結は会社を利することになる。全体の闘い前進のために更に努力していこう。
第四に、総選挙の結果、維新や改憲勢力が議席を伸ばし、九条改憲の強行も視野に入れている。来年七月参議院選挙を全力で闘い、立憲野党の共闘を更に強めて議席獲得につなげよう。
事務局長集約を受けて議事は各議案について採決が行われた。議案と補充議案は賛成多数で採択され、続いて別室で行われた財政小委員会の報告が久保事務局次長から行われ、可決した。選挙管理委員会からは役員選考委員会は別掲のとおり満場一致で推挙するとの報告が行われ、代議員は大きな拍手で承認した。
この後、大会宣言の採決が行われ、大会議長団によって第三三回定期全国大会メインスローガンか読み上げられ、全員で確認して議事を終了した。その後、司会を江森副議長が務めて新役員の紹介、渡邉議長の決意報告を受け、すべての日程を終了した。
この大会の前、十一月二十五日に沖縄辺野古新基地建設を強行するために政府が申請していた基地建設設計変更に対して、玉城デニー知事が不承認の決定を行った。この知事決定を全労協は断固支持する立場を表明するために大会会場参加者とリモート参加者は、全体で辺野古新基地建設反対!知事の決定断固支持!のプラカードを掲げてアピールした。江森副議長から大会全体の集約と職場から全労協運動を大きく成長させようという呼びかけを受け、大会の全日程を終了した。最後に渡邉議長の音頭で団結ガンバローを三唱して終了した。
(全労協事務局長中岡基明)