ヘイトスピーチ禁止条例施行1年(神奈川・川崎) / 全労協新聞 2021年8月号

ヘイトスピーチ禁止条例施行1年(神奈川・川崎) / 全労協新聞 2021年8月号

 


#全労協


ヘイトスピーチ禁止条例施行1年(神奈川・川崎)

市民と労働者が共同で
差別排外主義と闘う


 川崎市で、ヘイトスピーチ・デモが連続して発生している。JR川崎駅前などでは、多くの警察官に半ば守られるような形で、差別主義者たちが、日の丸・旭日旗を掲げヘイト攻撃を繰り返している。

彼らが川崎を狙うのは、川崎区桜本地区には在日朝鮮・韓国人やそこにルーツを持つ人びとが多く暮らしていることと、昨年七月に施行された、全国初のヘイトスピーチ刑事罰を科す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の空洞化を狙っているからだ。

 六年前の十一月、差別主義者たちは桜本地区をデモコースに入れ「ゴキブリ朝鮮人を叩き出せ」を連呼してデモ行進を始めた。これに対し多くの市民・労働者たちが「差別をやめろ」「桜本を通すな」と体を張ってデモ隊の桜本進入を阻止した。しかし、この時点で市内ではすでに、十一回もヘイトデモが行われ、その後もヘイト行為は続いた。

こうした状況に危機を感じた、多文化共生の町をつくり・守ってきた人びとなどが立ち上がり「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」を発足させた。神奈川県共闘も発足前から、この運動に関わり、この会に参加してきた。こうした市民を中心とした取り組みが成功し、桜本地区をターゲットにしたデモは禁止され、川時市に条例を作らせることができた。

 刑事罰付きの条例ができても、ヘイトスピーチ・デモはなくならない。同条例の形骸化を狙う差別主義者たちは、条例が定める禁止条項に当たらない言葉を選んでヘイトを続けている。これに対し「市民ネットワーク」を中心に、「多文化共生の町を作ろう」「ヘイト攻撃をやめろ!」などを訴える宣伝行動や、市に対して「条例の実質適用」を求める運動を続けている。

 県共闘はこうした取り組みに参加を続けるとともに、ヘイト行為は市域を越えて行われている実態があることから、横浜市への春闘要求書に「ヘイト禁止条例の制定」を加えてきた。差別排外主義と闘う仲間と連帯し、差別のない社会を作っていこう!

(神奈川県共闘事務局長 小内秀高)