大阪教育合同労組 ストップ!ヘイトスピーチ / 全労協新聞 2017年9月号

大阪教育合同労組 ストップ!ヘイトスピーチ / 全労協新聞 2017年9月号


全労協
http://www.zenrokyo.org/

全労協新聞
http://www.zenrokyo.org/simbun/sinbun.htm
より



●大阪教育合同労組
ストップ!ヘイトスピーチ



ネット上及び路上でのヘイトスピーチを止めるため、在日朝鮮人として、また女性としてヘイトスピーチに苦しめられてきたフリーライターの李信恵さんが提訴した在特会事件は、今年六月十九日、大阪高等裁判所で判決がありました。判決は地裁判決を上回る内容で、「民族差別と女性差別の複合差別に当たる」という画期的な認定がされました。

また「保守速報」を被告とした裁判は、六月二十二日原告の李信恵さんの証言が終わり、八月三日の最終弁論をへて十一月に判決の見込みです。

このようなネットや路上でのヘイトスピーチだけではなく、会社ぐるみのヘイトスピーチやヘイトハラスメントが長期にわたり行われています。この会社は、大阪府岸和田市に本社をおくフジ住宅株式会社です。

フジ住宅の今井会長は、業務とは何ら関係のない人種差別的内容を含む記事のコピー等を、毎日大量に配布してます。配布資料には「在日特権」デマ、ヘイト本嫌韓・嫌中の本もあります。さらに会社・今井会長は配布資料の感想を業務日誌等に書くよう促し、その感想に下線を引いて更に配布しているのです。

また二〇一五年に問題になった、育鵬社の教科書採択のための会社ぐるみのアンケート動員も行っています。

二〇〇二年からパート職員として働いている在日コリアン三世の女性は、あまりにもひどい会社の対応に、二〇一五年一月には会社に対して改善を申し入れたり、二〇一五年三月には大阪弁護士会への人権救済申立をおこないました。しかし会社はまったく改善の努力を行わないばかりか、八月には退職勧奨まで行ったのでした。そのため女性はやむにやまれず、会社と代表取締役(会長)を被告として損害賠償請求の裁判を提訴しました。

裁判では、会社と会長が、
1従業員のヘイトスピーチをそのまま配布
2仕事と関係のない会長個人の政治信条を配布、宣伝
3仕事と関係のない特定の教科書採択のための政治的署名等、
の行為を不法行為と主張しています。また会社は働く人が働きやすい環境を整える義務があり、使用者としての責任も問題にしています。

原告女性は「『在日』として、女性として、親として、ただ真面目に働いて、社会や多くの人とちゃんと接したい」という思いで、この会社で働き続けながら訴訟をたたかっています。今もなお差別的な配布物が毎日続く中。

(特別執行委員 武井博道)