コロナ被害相談村報告 / 全労協新聞 2021年2月号

コロナ被害相談村報告 全労協新聞 2021年2月号 

 


 
年越し支援・コロナ被害相談村報告

コロナ経済支援からも
排除される人びとと
一緒に踏ん張ろう

 

 連日マスコミ向けに行われたコロナ被害相談村のプレスリリース時にインタビューできた人のなかから特徴的な相談を報告したい。

 「元技能実習生岐阜の縫製工場が倒産、国に帰ることもできない」と三〇歳代女性ベトナム人の相談があった。受け入れ機関が何ら対応しないために現在オーバーステイとなり「仮放免中」で仕事ができない。また、東京福祉大が大学側の杜撰な指導により「留学」の在留資格がなくなり、現在は「帰国準備」資格で滞在。一ヵ月ことの更新で働くこともできず、コロナで国にも帰れない。彼ら彼女らは一日も早く「ベトナムに帰って、働いて借金を返したい」と訴えていた。

 ミャンマーカチン族の男性は、日本政府が難民認定をしないので「仮放免中」。公園で野宿をしていた。食べ物も満足に食べられず衰弱していた。ミャンマー人のコミュニティの人に連れてきてもらった。

 いずれの事例も、今の日本の入管体制の問題を浮かびあがらせている。そして彼ら彼女たちは「コロナ対策の経済支援」からも排除されている。

 ほとんど人の所持金は一〇〇〇円以下。中には、「相談村に来るための電車賃も節約するため江東区東大島の公園から朝四時半に起きて歩いて来た」人もいた。生活保護には、抵抗感が強い人が多かったが「どんなにひどい状態になっても、早まってとんでもないことをしてはいけない。家族や国などの制度には頼れる時には頼った方がいい。一緒に踏ん張りましょう」と相談後語っていた。「相談村」の意義もこの言葉にあると思う。まだまだ続くコロナ禍。
「一緒に踏ん張ろう」と伝えられる活動を今後も続けたいと思った。


アリバイ的な行政の対策

 大田区役所では、当局が十二月二十二日感染症対策に従事する職員と生活福祉課の職員に年末年始も勤務するように急遽提案してきた。

 感染症対策をしている職員は、コロナ禍が始まってから残業が続き月一〇〇時間を超える人もいる。職場からは「応援による職員増ではなく、専属の正規職員を増やしてほしい」「手狭な事務室の環境整備を行ってほしい」などの声があった。

 また、福祉事務所についても「相談者は、蒲田生活福祉課へ電話するという事だが、保護が必要になる人たちへの周知か徹底しておらず、いかにもアリバイ的」等の声かあった。確かに周知は大田区ホームページのみで、相談者数も少なかったという事だった。

大田区職労 藤村妙子)