菅・自公政権では私たちの命と生活は守れない / 全労協新聞 2021年2月号

菅・自公政権では私たちの命と生活は守れない 全労協新聞 2021年2月号 

 


 

菅・自公政権では私たちの命と生活は守れない

労働者の底力で政権交代の実現を


全国労働組合連絡協議会 議長 渡邉 洋


 一月十八日に通常国会が会期一五〇日間の予定でスタートした。菅政権がGoToキャンペーンに固執する間にコロナ感染は拡大した。状況が悪化しつつある中、政権は野党の申し入れを振り切って臨時国会を閉会、その直後にGoToトラペルを中断、年が明けて緊急事態宣言と対策は常に後手に回り、政策は日々大きく揺れている。
 通常国会での首相施政方針演説は、勇ましい言菜の羅列とは裏腹にコロナヘの具体的対策は示されず、唐突に五輪開催への意欲が強調された。用意されているコロナ特措法、改正案は、罰則や私権制限が盛り込まれ、感染拡大の責任を個人に押しつける極めて危険な性格を内包する。
 一刻も早く菅政権を退陣させなければ、労働者の命と生活を守ることはできない。


GoToにはエビデンスなし?

 本来は感染が終息した後の経済復興策だったGoToキャンペーンが前倒しで進められてきたが、収束の傾向も見えないうちに、菅首相は、前政権から引き継いだGoToをさらに推進・拡大した。GoToは人の移動を刺激することから、当初から感染拡大を助長することが懸念されていたが、首相は「感染拡大の原因とのエビデンスはない」と強弁し批判を一蹴してきた。

 しかし冬が近づくにつれて感染は急激に拡大、世論に加え政府が頬りにしてきた専門家からもGOTo中止を求める声が強まっていった。菅首相は国会閉会直後の十二月十四日、GoToトラベルの一時中止を判断したが、エピデンスについての考え方が変わったのか否かについては、明らかにされなかった。そこには自らの言説への総括は一切ない。


真の説明避けた安倍前首相

 昨年十二月五日に閉会した臨時国会、野党四党は新型コロナウイルス対策の議論継続のため会期延長を申し入れたが、自民・公明両党などの反対多数で否決された。パンデミックが迫り来る中、課題が山積するにもかかわらず、なぜ会期は延長されなかったのか。

 十二月二十五日、国会閉会中の衆参両院で議院運営委員会か開催された。この委員会は、安倍氏自らが「桜を見る会」問題に関する国会答弁を訂正する発言をしたいと求めたことに応じて開かれた場だった。

 安倍氏は発言の中で、国会答弁の中に事実に反するものがあったことを認め、謝罪したとされている。しかし、「夕食会は後援会が支出を補填した」こと以外に、具体的訂正はされなかった。これだけでは「答弁の訂正」にはならない。答弁の訂正とは、先の国会答弁のどの部分が間違っていたか、正しくはどうだったのかを説明することだ(詳しくは上西充子法大教授の論考を参照されたい)。

 国会閉会の真意は、「桜を見る会」問題隠しだったのではないか。


政治腐敗に言及しない菅政権

 菅首相は施政方針演説の締めくくりで「政治家の国民からの信頼が不可欠」と述べている。しかし、現在捜査が進んでいる元農水大巨の鶏卵汚職問題や繰り返される議員の公選法違反には触れることなく、そして「桜を見る会」問題では「官房長官としての自分の笞弁も間違っていた」という他人事のような言及があっただけだ。なぜ政治家が信頼を失っているかについて、事実に基づいた反省はなかった。

 コロナ特措法改正案の審議が始まるか、「ご協力いただく」というソフトな言い回しの下、政府が用意した法案が通れば、行政の命令に従わないときの罰則や私権制限が盛り込まれる。感染拡大の責任を個人に押しつけることによって、失政を続けてきた政権の貴任は不問に付すという性格だ。

 ことあるごとに「説明責任」と言いなから説明を放棄し、政治の言葉を軽んじてきた自公政権の責任は重い。用意された原稿以外は一切語らない菅首相の姿勢が問われている。この政権にこれ以上政治を任せることはできない。私たちの力で倒閣を!