資料/ 新型コロナウイルス感染症に関連する労働問題についての申入れ

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                 2021年2月3日

兵庫労働局長
荒木祥一様
 
               ひょうご地域労働運動連絡会
               ひょうご労働法律センター
               ひょうご労働安全衛生センター
               ひょうごユニオン


新型コロナウイルス感染症に関連する労働問題についての申入れ


 貴職におかれましては、ますますご清栄のことと存じます。

 私たちは、県下の労働組合で構成する地域組織、あるいは労働運動の各課題を前進させるためにつくった共闘組織です。

 昨年来、猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症は未だ収束する気配がなく、1月14日からは、兵庫県も「緊急事態宣言」の対象地域となりました。これに伴い、「飲食店の営業時間の短縮」や「出勤者7割減」、「在宅動務」等が要請されています。すでに飲食店は多くが営業時間を20時までとしており、交代勤務などにより出勤者を抑える企業もあります。

 昨年4月の「緊急事態宣言」以降、賃金や休業手当の不払い、「解雇・雇止め」、労働条件の不利益変更などに関して、県下の労働組合に数多くの相談が寄せられました。私たちは、二度目の「緊急事態宣言」によって、再び同様の問題が発生しています。

 そこで、新型コロナウイルス感染拡大に関連して発生することが予想される問題について、下記のとおり申し入れ事項をまとめました。、

 ついては、労働行政として以下の点についてご尽力いただくよう要請するとともに、後日、私たちとの意見交換の場を設定していただき、回答していただくよう要請します。

 

1.県下の多くの飲食店等で、「緊急事態宣言」(以下、「宣言」という)に伴う営業時間短縮が実施されている。これらの事業所では、労働者を所定労働時間よりも短い時間で働かせることもあるが、労働契約の変更が行われていない場合、所定労働時間よりも短縮した労働時間分についても賃金の支払いが必要であることを周知・徹底されたい。


2.昨年4月の「宣言」時に、営業時間の短縮に合わせて、使用者が一方的に労働者の労働時間を契約内容よりも短く変更し、短縮した時間に基づいて賃金を減額する事案が見受けられた。いうまでもなく、労働時間や賃金の見直しは労働者にとって死活問題であり、「宣言」下であっても、労働条件の一方的変更は許されないことを周知・徹底されたい。

3.この度の「宣言」に伴い、休業する事業所もあると思われるが、昨年4月の「宣言」時には、「休業になっているが、休業手当が支払われない」旨の相談が数多く寄せられた。使用者によっては「施設が休館となり、施設内で営業している店舗が営業できなくなった。当社が休業を指示したわけではない」などと述べて、休業させながら休業手当を支払わない事案もあった。これらについては、労働契約で定めた労働時間分の就業機会を確保しない事業者に責任があることは明らかであり、休業手当の支払いが必要であることを周知・徹底されたい。


4.上記「3」のようなケースで、休業手当の支払いを拒むとともに、労働者が「休業支援金・給付金jの申請を行った場合に、使用者が「事業主が命じた休業」であることを否定し、協力しない使用者が見受けられた。その結果、労働者が休業手当も「休業支援金・給付金」も受け取れないという状態に置かれる事案が発生している。「休業支援金・給付金」については、申請した労働者が当該事業所の労働者であること、また申請した期間に就労できていないことが確認できる場合は、速やかに給付を行われたい。


5.上記「3」のようなケースで、全国に複数店舗を有する事業者が、申請手続きを確認するため、「厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター」に問い合わせを行った。担当者からは休業の詳細について記載した「申立書」を作成して提出するよう求められたため、事業者はこれに従って「申立書」を提出したものの、都道府県によって「支援金・給付金」が支払われる労働者と支払われない労働者がいた。これは、各労働局や担当者によって支給要件の捉え方が異なっていたためと思われる。このような対応は、労働者間に不公平を生み、労働者と使用者の間に不信感を生じさせるものとなる。このような事案が発生しないよう、労働行政として、支給要件等に関する認識を統一し、公平な対応がとれるよう担当者教育を行われたい。


6.「宣言」に伴う営業時間短縮や休業によって、「解雇・雇止め」の発生が危惧される。使用者の中には、安易に「解雇・雇止め」を通告する者もいることから、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効」であること、「有期労働契約については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中の解雇はできない」こと、「無期労働契約の場合はもちろん、有期労働契約の場合であっても契約を3回以上更新している場合や1年を超えて継続働務している場合は30日以上前の予告が必要である」こと等、解雇・雇止めに関するルール
があることを周知・徹底されたい。また、解雇・雇止めを回避するために「雇用調整助成金」を活用するようあらためて周知・徹底されたい。


7.新型コロナウイルス感染症に関して、事業場において感染したと考えられる場合には、速やかに労働者死傷病報告を提出し、労災請求を行うよう、あらためて使用者に徹底されたい。


8.兵庫労働局のホームベージにおいて、「新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等」(令和2年11月25日現在分)が公表されているが、それ以降の状況についても、定期的に更新されたい。


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