介護労働者訴訟を支援する会結成 / 全労協新聞 2020年12月号

介護労働者訴訟を支援する会結成 / 全労協新聞 2020年12月号

 


 


ホームヘルパー国家賠償訴訟

介護労働者訴訟を支援する会結成


 二〇一九年十一月一日、三人の訪問介護ヘルパーが国を被告に、「介護保険制度」が労働基準法違反による介護ヘルパーたちの犠牲の下で成立している実態を知りながら放置しているとして、「ホームヘルパー国家賠償請求訴訟」を提訴しました。コロナ禍で裁判の進行が遅れたため第三回弁論が十一月二日東京地裁で行なわれ、傍聴席から多くの支援の仲間たちが見守りました。

 

 被告の国は、「労基法違反は使用者と雇用者の問題で国は関係ない、原告は労基署に訴えていない、直ちに違法とはいえない。」と、全面的に争う姿勢が示されました。担当裁判官は被告・国の主張に基づいた訴訟指揮で早期の結審がうかがわれ予断を許しません。世論を盛り上げて司法に正しく向きあうよう声を上げる必要を感じました。

 

 原告らからは、厳しい労働実態と移動・待機・キャンセルが末払いになっている二年分の賃金表を証拠として提出しました。また、「ホームヘルパー働き方調査」アンケートを実施して、なんと六五〇人を超えた訪問介護労働者から回答か寄せられ、現在その結果をまとめています。提訴した三人の原告らだけが、決して特別ではない証拠として、アンケート結果のまとめを裁判所に提出する予定です。


 厚労省ホームヘルパーの実態を把握していない事実を認めており、このアンケート結果は大変注目されます。

 

 鹿児島大学教授の伊藤周平さんを講師に招いた「支援する会キックオフ集会」が開催され約四十人か参加しました。また、コロナ禍のため東京に来られない原告や支援者がオンラインでも繋がりました。伊藤周平さんは「ヘルパー国賠訴訟」の意義を確認し、国が介護保険制度を導入した目的の一つ「介護の社会化」とは「介護の商品化」であると、二十年前に介護保険制度が改立した経過をさかのぼり事実を以て政府の政策を糾弾しました。さらに、菅首相の言う「『公助』という日本語は存在せず国際的にも通用しない、あるのは『公的責任』のみです。」と、論断して、コロナ対策で可視化された国の医療・介護政策を厳しく批判しました。

 

 当日「ホームヘルパー国賠訴訟を支援する会」も結成されました。多くの支援をお願いしたい。

 

全労協 女性委員会 中原純子)