介護現場から声を上げ 国賠訴訟を提訴 / 全労協新聞 2020年10月号

介護現場から声を上げ 国賠訴訟を提訴 / 全労協新聞 2020年10月号

 


コロナ禍に地域・職場で奮闘する全国の仲間たち



全国一般ふくしま連帯ユニオン(佐藤昌子さん)

 

介護現場から声を上げ
国賠訴訟を提訴


 コロナ禍に介護ヘルパーとして働く佐藤昌子さんにリモートインタピューを行った。

 佐藤さんの職場は、福島県須賀川市で活動するNPO法人いきいきケアセンター(訪問介護事業所)。ホームヘルパーなど約三十人か働いている。

 四月、新型コロナウイルスの惑染が拡大するなか、二人の利用者か濃厚接触者となった。訪問入浴事業所のヘルパーがコロナに罹患していた。二人を担当するヘルパー五人が二次接触者となり、人手不足の中二週間の侍機を余儀なくされた。事業所は厳しい運営に直面した。

 八月には、事菓所を訪れた自動車保険営業担当か罹患し、対応した所長が濃厚接触者になった。PCR検査は陰性だったが、所長と接触したヘルパー三人が二週間の待機となった。翌日からのシフト変更など様々な決断を短時間で迫られ、その後も混乱は続いた。より安全を要するALSの利用者も多い。ヘルパーは食事・排泄・服薬など利用者の命を支えている。空けるわけにはいかない。一部の利用者からそれでも来てほしいと要望された。どこで誰が感染するかわからない状況の中、上京に際し二週聞の休瑕届を指示した事業所もあるという。佐藤さんは母と兄の新盆を断念した。

 通常業務の大変さにコロナ禍が追い打ちをかけ、介護ヘルパーと利用者、双方の感染リスクに配盧しながらの緊張した訪問介護の仕事か続いている。佐藤さんは、介護労働者にも無償でのPCR検査をと訴える。

 佐藤さんは二〇一九年十一月にヘルパー仲問と一緒に三人が原告となり、介護保険制度の下では、訪問介護労働者は労働基準法が道守されないとする国家賠償訴訟を提訴した。二〇〇〇年に導入された介護保険制度は二十年の間に、介護報酬の相次ぐ引き下げや訪問介護の訪問時間数を九〇分から六〇分、四五分、二〇分へと短時間化させるなど次々に改悪し続け、介護事業所の運営を圧迫し介護ヘルパーの賃金・労働条件を劣悪化させている。介護ヘルパーに人としての尊厳を以て働くことができない労働を強いる介護保険制度を可視化させる重要な提訴である。女性委員会として裁判を支援しなから報告を継続したい。

 第三回裁判期日は、十一月二日(月)十六時、東京地裁、傍聴人数制限有十六人傍聴支援しよう!

(女性委員会 中原純子)